返還から10年、変容する香港
このニュースをシェア
【5月28日 AFP】英国から中国へ返還されて10年、香港(Hong Kong)がアイデンティティーの危機に陥っている。
Johnny Chung(29)は、誇らしげに英国のサッカーシャツを着て英国のロック音楽を聞き、ほかの香港生まれの中国人と同様、完ぺきな英語を話す。
一方、彼のガールフレンドAtom Hoはほとんど英語を話せず、携帯電話の着信音から判断すると地元の広東ポップ音楽しか聞かないようだ。
英国びいきのChungにとって10年前の英国統治の終えんは、香港の歴史上最も悲しい出来事だった。一方、香港の統治権が中国に返還されたときわずか9歳だったHoは、この出来事をほとんど覚えていない。
このカップルは香港で現れつつあるアイデンティティーの危機を体現している。
統治政府の組織や通りの名前など、香港には英国統治時代の面影が数多く残されている。
10年間の民族主義的な中国の統治はこの町にも影響を及ぼしつつある。
香港は返還以来、いわば政治的サッカーの様相を呈している。返還後の香港の歴代行政長官たちは中国の信頼を勝ち取ることと民族主義の高揚に熱心だ。
人民解放軍の常駐やテレビで毎晩流す国歌などは最もあからさまな例だが、定期的に中国国宝展が開かれたり4頭のパンダが寄付されたり、中国のトップ運動選手が香港を訪問するなどもっとさりげない例もある。
香港における中国の存在感は、政府の後押しがなくても増しつつある。
株式市場は中国本土の会社が大半を占め、ポップチャートには北京語の歌が増えた。旅行の制限が緩和されたため多くの中国人観光客が町にあふれている。
言葉も1つの争点だ。返還後、教育関係者は多くの英語のカリキュラムを放棄してしまった。
教育部(教育省)の元事務次官Raymond Young氏は「150年に及んだ英国の統治にもかかわらず、香港では英語は外国語だ」と言う。「50年間も英語で教育してきたが、結果はこうだ――12歳になっても正しい英語が話せない」
英語の習熟度統計によると、学校教育が中国語に切り替わった途端に英語の水準が落ちている。実業界はこれ以上英語のレベルが落ちれば香港がビジネスの中心でいられなくなると危ぶんでいるが、教育界はそれは誇張しすぎだと反論している。(c)AFP/Mark McCord
Johnny Chung(29)は、誇らしげに英国のサッカーシャツを着て英国のロック音楽を聞き、ほかの香港生まれの中国人と同様、完ぺきな英語を話す。
一方、彼のガールフレンドAtom Hoはほとんど英語を話せず、携帯電話の着信音から判断すると地元の広東ポップ音楽しか聞かないようだ。
英国びいきのChungにとって10年前の英国統治の終えんは、香港の歴史上最も悲しい出来事だった。一方、香港の統治権が中国に返還されたときわずか9歳だったHoは、この出来事をほとんど覚えていない。
このカップルは香港で現れつつあるアイデンティティーの危機を体現している。
統治政府の組織や通りの名前など、香港には英国統治時代の面影が数多く残されている。
10年間の民族主義的な中国の統治はこの町にも影響を及ぼしつつある。
香港は返還以来、いわば政治的サッカーの様相を呈している。返還後の香港の歴代行政長官たちは中国の信頼を勝ち取ることと民族主義の高揚に熱心だ。
人民解放軍の常駐やテレビで毎晩流す国歌などは最もあからさまな例だが、定期的に中国国宝展が開かれたり4頭のパンダが寄付されたり、中国のトップ運動選手が香港を訪問するなどもっとさりげない例もある。
香港における中国の存在感は、政府の後押しがなくても増しつつある。
株式市場は中国本土の会社が大半を占め、ポップチャートには北京語の歌が増えた。旅行の制限が緩和されたため多くの中国人観光客が町にあふれている。
言葉も1つの争点だ。返還後、教育関係者は多くの英語のカリキュラムを放棄してしまった。
教育部(教育省)の元事務次官Raymond Young氏は「150年に及んだ英国の統治にもかかわらず、香港では英語は外国語だ」と言う。「50年間も英語で教育してきたが、結果はこうだ――12歳になっても正しい英語が話せない」
英語の習熟度統計によると、学校教育が中国語に切り替わった途端に英語の水準が落ちている。実業界はこれ以上英語のレベルが落ちれば香港がビジネスの中心でいられなくなると危ぶんでいるが、教育界はそれは誇張しすぎだと反論している。(c)AFP/Mark McCord