【5月28日 AFP】27日に閉幕した第60回カンヌ国際映画祭(60th Cannes Film Festival)で、『Le Scaphandre et le PapillonThe Diving Bell and the Butterfly)』を手がけた米国のジュリアン・シュナベル(Julian Schnabel)が監督賞を獲得した。

■作品を支えた女優勢に感謝

 この作品は身体が不自由になったELLE誌の元編集長ジャン・ドミニク・ボービー(Jean-Dominique Bauby)氏がまばたきで綴り、世界的ベストセラーとなった手記『潜水服は蝶の夢を見る』を映画化したもの。

 受賞に際し、シュナベル監督は審査員9人全員と握手し、マチューア・マルリック(Mathieu Amalric)ら出演女優らに感謝の意を述べた。

 「身体が不自由になってしまった男性の映画を撮っていると思っていましたが、女性たちの姿を描いているのだと気付きました」

 「私がこの場にいるようになるとは全く想像できませんでした。なぜなら私は単なる映画のファンであり、映画監督になろうとは思っていなかったからです」
 
■瞬きで綴った手記を映画化

 本作の主人公となったボービー氏は、パリのファッション界でその名を馳せた男だったが、42歳のとき、突然の脳出血により全身不随になった。

 映画では、海辺の病院で数週間の昏睡状態から目覚めた後に「閉じ込め症候群」を患い、左のまぶた以外の全身が全く動かなくなってしまった彼の姿が描かれている。

 タイトルは、潜水鐘の気密室のような体の中に閉じこめられてしまった感覚と、それでも心だけは蝶のように活発であり続けるボービー氏の状態を表したものだ。
 
 ボービー氏は、アルファベットを誰かに暗唱してもらい、使用したいアルファベットが読み上げられたら瞬きをし、それにより気持ちを伝えるという方法を教わった。そして、アシスタントが長い月日をかけ彼の目の動きを読み取り、手記が完成した。

 ボービー氏は1997年、手記の出版からわずか10日後に死亡したが、手記は数か国語に翻訳され、世界的なヒットを記録した。

 シュナベル監督は、キューバを舞台にハビエル・バルデム(Javier Bardem)主演作品『夜になるまえに(Before Night Falls)』(2000年)でヴェネチア国際映画祭(Venice International Film Festival)の審査員賞を受賞している。(c)AFP