【5月25日 AFP】今から30年前の1977年5月25日、ジョージ・ルーカス(George Lucas)監督による『スター・ウォーズ(Star Wars)』第一作が公開された。ルーク・スカイウォーカー(Luke Skywalker)、ダース・ベイダー(Darth Vader)、ハン・ソロ(Han Solo)が誕生してから早くも30年の年月が経った。しかし、映画史を変えたと言われるこの作品の多大なる影響は、何年たっても色あせることはないようだ。

■社会現象となった『スター・ウォーズ』

 1975年に公開されたスティーヴン・スピルバーグ(Steven Spielberg)監督作品『ジョーズ(Jaws)』は近代の大作映画のはしりとなった。しかし、本格的な社会現象を巻き起こすようになったのは『スター・ウォーズ』が最初だ。

 「『ジョーズ』も衝撃的な作品でしたが、『スター・ウォーズ』は異様なまでの熱狂を巻き起こしました」と語るのはmovies.comのLew Harris氏。

 「『スター・ウォーズ』は商品化され、それだけで一つの市場ができました。SF映画の様相を変え、特殊効果を変え、続編の考え方も変えたのです。『スター・ウォーズ』に関する多くのことが、画期的だったのです」

■過去30年間で約2兆円以上の収益

 この作品は30周年を迎えた今でも、史上最高の収益を収めた歴代作品の一つに名を連ねている。

 シリーズ6作が発表され、テレビ番組でのスピンオフ・シリーズ放映や、本・コミックの発売、テレビゲーム、おもちゃなどさまざまな商品化もなされた。米経済誌フォーブス(Forbes)は2005年に、『スター・ウォーズ』関連の商品が過去30年間で200億ドル(約2兆4000億円)もの収益を上げたと見積もっている。

 皮肉なことにルーカス監督は、『スター・ウォーズ』の資金繰りのために、制作会社の20世紀フォックス(20th Century Fox)を必死に説得したという。20世紀フォックスは、クランクインのわずか4か月前に予算を750万ドル(約9億円)から690万ドル(約8億3000万円)に削減してきた。さらなる予算カットを防いだのは、フォックスのアラン・ラッド・Jr(Alan Ladd Jr)氏だった。

 「なぜ、ジョージ・ルーカスを信じたかって?簡単だよ。“ジョージ・ルーカス”だからさ」ラッド氏はAFPの取材に対し、こう語った。ラッド氏はルーカス監督を信頼したが、公開直前まで『スター・ウォーズ』に対する疑念はついて回った。
 
■初めての試写会の反応は、実に冷ややか

 スティーヴン・スピルバーグ監督やブライアン・デ・パルマ(%%Brian de
Palma%%)監督をはじめとした映画関係者を集めて行われた試写会での反応は冷ややかだった。

 過去のインタビューによれば、スピルバーグ監督は『スター・ウォーズ』のヒットを予測した数少ない人たちの1人だったという。スピルバーグ監督は友人に語った。「ジョージはすごいよ。1億ドルのヒットになるだろうね」

 さらにスピルバーグ監督は「あなたはハリウッドの映画会社の重役たちの中で、一番の幸せ者になりますよ」とラッド氏に語ったという。

 映画芸術科学アカデミー(Academy of Motion Picture Arts and Sciences)で先日行われた『スター・ウォーズ』の祝賀パーティーに出席したラッド氏は、AFPに対し、この作品のヒットを確信したのは、サンフランシスコで行われた試写会のあとだったと語った。

■すぐに大ヒットを記録

 「土曜の朝9時で、客層はバラバラでした。幕が開け、反乱軍の宇宙船が帝国軍の戦艦に追われるというオープニングがスタートすると、観客は歓声を上げたんだ。そのときに私は気づいたよ」

 全米でわずか32の映画館でしか公開されなかったこの作品は、すぐに大ヒットを記録した。このヒットを受けてルーカス監督は早速、続編制作に取りかかった。このようにして、1980年に『スター・ウォーズ/帝国の逆襲(The Empire Strikes Back)』、1983年に『スター・ウォーズ/ジェダイの復讐(The Return of the Jedi)』が公開された。

■従来の続編映画のあり方を変えた作品

 Harris氏によれば、『スター・ウォーズ』の続編は、従来の続編映画のあり方を変えたという。

 「続編制作はそれ以前にもありました。しかし007シリーズなどは、その作品だけでストーリーが完結するものです。しかし『帝国の逆襲』でルーカスがやったことは、ストーリーを次につなげて、完結させないということだったのです。それまでは、誰もそんなことをしようとはしませんでした。しかしこの方法で、人々はさらに次回作を見るようになったのです」

 Harris氏はさらに、『スター・ウォーズ』の魅力は、シンプルなストーリーと個性豊かな登場人物だという。

 「最新のおとぎ話ですね。その特殊効果で革命的な作品となった『スター・ウォーズ』は、同じようにその特殊効果のおかげで、観客は登場人物たちの個性を見落としがちになった」

 「これは、『スター・ウォーズ』の最高の功績でもある。宇宙を舞台にした空想的なこの冒険物語で、ルーカス監督は観客を夢中にさせる世界を作りあげた」

■新3部作は賛否両論

 『スター・ウォーズ』新3部作は、興行収入的には大成功を収めたが、人々の記憶には好意的に残っていない。その理由を、特殊効果のせいで登場人物たちが目立たなかったからだとHarris氏は語る。

 「後半の『スター・ウォーズ』には、ハン・ソロに匹敵するキャラクターは出てこない。だから同じようにストーリーに感情的に入り込むことはない」

 「新3部作は、巨大なテレビゲームのようだという批評がありましたが、当たっている部分もありますね」

 一方、ルーカスは、『スター・ウォーズ』が映画界のレベルの低下を招いたとする批評を繰り返し否定し、制作会社に対しアート系の作品よりも大作を手掛けるようにと働きかけている。

 「『スター・ウォーズ』は、映画産業を崩壊させたり、そのレベルを低下させたりはしていない」とルーカス監督は過去のインタビューで答えている。(c)AFP