【5月25日 AFP】24日、1986年からロンドンでもっとも豪華で美しい場所に暮らしていた年金生活のホームレス男性が、その場所の所有権を手にすることが決まり、一夜にして資産家になるという出来事があった。

 この人物はハリー・ハローズ(Harry Hallowes)さん(71)。ハローズさんの退去を求める開発業者と2年間にわたり法廷で争った末、ロンドンのハムステッドヒース(Hampstead Heath)にある、800平方メートルの老人ホーム跡地の所有権が認められた。

 2005年3月、ある不動産開発業者が高級マンションを建設するため、この場所にバラックを建てて暮らしていたハローズさんに立ち退きを求めた。

 反発したハローズさんが弁護士に相談したところ、この弁護士は、過去21年間、ハローズさんは他の誰からもこの土地の所有権を主張されることなく、この場所に暮らしてきた証拠を揃えることができた。

 ハムステッドヒース周辺は、ロンドンの中でも特に地価が高く、著名人が多く暮らしている場所としても知られている。

 所有権を手にしたハローズさんは「この土地の価格は100万ポンド(約2億4000万円)とも200万ポンド(約4億8000万円)とも言われています。でも金額はどうでもいいんです。わたしは自分が住む場所が必要だっただけなんですから」と落ち着いた態度で語った。

 元モンティ・パイソン(Monty Python)のメンバーで映画監督のテリー・ギリアム(Terry Gilliam)氏ら近所に住む人たちの雑用を請け負っているハローズさんは、今度はもう少し大きな家を建てるかもしれないと笑う。

 「家を建ててみようかと思います。ご近所の人たちは皆、家を建てるのが好きなようですからね」(c)AFP