【5月25日 AFP】米国とカナダの研究者らが24日、氷島の漂流調査のためカナダ北部の北極海に浮かぶエールズ氷島(Ayles Ice Island)に上陸した。オタワ大学(University of Ottawa)広報担当者が発表した。

 この研究者らは、オタワ大学の地理学者ルーク・コップランド(Luke Copland)準教授と、アラスカ州立大学フェアバンクス校(University of Alaska Fairbanks)のデレック・ミューラー(Derek Mueller)博士研究員。氷島に発信器を取り付け、アラスカ(Alaska)方面に向けて漂流していく様子を観測するという。アラスカには油田があり、採掘装置への影響が懸念されている。

 エールズ氷島は昨年発見された氷島で、全長16キロメートル、幅5キロメートル、グリーンランド(Greenland)に程近いエルズミア島(Ellesmere Island)沿岸の棚氷が2005年8月ごろに崩落して流れ出たものとみられる。カナダ気象庁海氷情報局(Canadian Ice Service)は、衛星画像で確認した崩落後の漂流距離は100キロメートル未満としている。

 エールズ氷島の崩落は規模が大きく、250キロメートル離れた地点の地震計でも振動が観測された。ただ、当時は震動の原因が特定できなかった。コップランド準教授は、地震計と衛星画像から得られたデータをつなぎ合わせ、崩落の全体像を描き出した。

 コップランド準教授は、昨年12月のフランス通信(AFP)のインタビューでエールズ氷島の存在を公表。「25年ぶりの大崩落で、20世紀以来の棚氷の崩落が続いている証拠だ」と述べ、エルズミア島が1906年に発見されて以来、島を覆う氷床の90%近くがこれまでに失われたと語った。

 エルズミア島には氷河が5つあり、かつては後退と再生を繰り返していた。準教授は、温暖化によって氷河の再生が難しくなり、崩壊して海中に流出してしまうのではないかと懸念している。

 南極と北極は、温室効果ガスの増加による温暖化の影響が最も大きい。北極圏の気温は過去100年間で、地球上の他の地域の2倍の速度で上昇した。国連(United NationsUN)の気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate ChangeIPCC)は今年、地球上の氷の厚さが2100年までに激減するとの報告書を発表している。(c)AFP