<第60回カンヌ国際映画祭>90年代初頭中国の恥ずべき側面に焦点あてた『Blind Mountain』、国の検閲を乗り越えカンヌへ
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【5月22日 AFP】27日に閉幕を迎える第60回カンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)で21日、「ある視点(Un Certain Regard)部門」に出品された中国のLi Yang監督の「Blind Mountain(Mang Shan)」が上映された。1990年代の中国を舞台に、金で買われて寒村に嫁いだ若い女性の悲惨な物語は、自国での検閲をくぐり抜けての上映となった。
■エンディングでは満員の観客から拍手
嫁とは名ばかりの性的奴隷として囲われている女学生Baiの苦境を知りながら助けの手を差し伸べない村人たちを描いた作品は、無感覚になった社会を浮き彫りにしている。遅すぎた制裁が下ったエンディングでは、満員の観客から拍手が起こった。
48歳のLi監督は、2003年の「Blind Shaft」でベルリン映画祭で銀熊賞を受賞している。
■今回の上映にたどり着くまで20カ所以上を修正
中国の映画審査機関(Film Bureau)にこの映画をカンヌ国際映画祭で上映するための許可を得るまで、20か所以上をカットされたという。「提出するたびに新しい提言があった」と監督はHollywood Reporter誌に語った。
映画では、女学生Bai (Huang Lu)は負債を抱えた家族を救うため「給料がいいならどれだけ働いてもいい」と言って、漢方薬を販売する実入りのいい仕事を紹介するという約束につられてしまう。
しかしスーツ姿の親切な紹介者の男たちは、実は人売りだった。続くシーンは痛々しい。パニックになったBaiが自分のお金と身分証を掴んで逃げだそうとするが、逃げ道がないことを悟る。
■主人公の無惨で悲しい姿
乱暴され殴られ、新しい「夫」の服従下に置かれ、両親はBaiを土床の部屋に鎖で繋ぎ閉じこめる。
その母親や村の女性たちの多くが同じ策略の犠牲者だったが、彼女にあきらめて苦境を受け入れるよう忠告する。
しかしBaiはそれを拒否し、親切な教師、村役場の腐敗した役場長、警官たちに助けを求める。役立たずの警察官たちはこの国において性的奴隷は法律的に禁止されているが多くの地域ではよくあることだと認めている。
そのうち彼女は妊娠するが、自分で腹を殴って流産しようとする。しかし、9か月後男の子が生まれる。最後には村の小学生がBaiを助け、父親に救助の要請を送るがその父も彼女を救い出すことができない。
■90年代初頭の恥ずべき側面に焦点
検閲について、Li監督は「ここ、カンヌに来る許可を得るのはとても難しかった」と言う。
農村では男の子が好まれるため女の子の赤ん坊は池に沈められるという場面、また医療制度の崩壊についての会話部分を無修正で残すことができた。しかし中国国内向けの同作品「Mang Shan」はそういった場面が削除され、違ったエンディングになるかもしれないという。
ドイツに14年住む監督は、匿名の華僑投資家たちの援助もあり60万ユーロ(約1億円)を集めた。
監督は誘拐された嫁たちにインタビューし、その中の1人に映画で小さな役を与えた。90年代初頭、自由市場への改革が成功したと見える現代中国の恥ずべき側面に焦点をあてている。
Li監督は「中国社会にはびこる『金銭至上主義』的態度と人間の本質にある醜さ、どん欲さ、残忍性、背信の容赦ない露出への批判だ」と今回の映画祭で述べた。
21日に出版されたHollywood Reporter誌はこの映画を絶賛している。「地元のアマチュアとプロを交えたキャスティングが、迫真の演技をさせ完成度の高い作品に仕上げた。特に知的で不屈の気品を備えたBai演じるHuang Luは、完璧な演技力を備えている」(c)AFP
■エンディングでは満員の観客から拍手
嫁とは名ばかりの性的奴隷として囲われている女学生Baiの苦境を知りながら助けの手を差し伸べない村人たちを描いた作品は、無感覚になった社会を浮き彫りにしている。遅すぎた制裁が下ったエンディングでは、満員の観客から拍手が起こった。
48歳のLi監督は、2003年の「Blind Shaft」でベルリン映画祭で銀熊賞を受賞している。
■今回の上映にたどり着くまで20カ所以上を修正
中国の映画審査機関(Film Bureau)にこの映画をカンヌ国際映画祭で上映するための許可を得るまで、20か所以上をカットされたという。「提出するたびに新しい提言があった」と監督はHollywood Reporter誌に語った。
映画では、女学生Bai (Huang Lu)は負債を抱えた家族を救うため「給料がいいならどれだけ働いてもいい」と言って、漢方薬を販売する実入りのいい仕事を紹介するという約束につられてしまう。
しかしスーツ姿の親切な紹介者の男たちは、実は人売りだった。続くシーンは痛々しい。パニックになったBaiが自分のお金と身分証を掴んで逃げだそうとするが、逃げ道がないことを悟る。
■主人公の無惨で悲しい姿
乱暴され殴られ、新しい「夫」の服従下に置かれ、両親はBaiを土床の部屋に鎖で繋ぎ閉じこめる。
その母親や村の女性たちの多くが同じ策略の犠牲者だったが、彼女にあきらめて苦境を受け入れるよう忠告する。
しかしBaiはそれを拒否し、親切な教師、村役場の腐敗した役場長、警官たちに助けを求める。役立たずの警察官たちはこの国において性的奴隷は法律的に禁止されているが多くの地域ではよくあることだと認めている。
そのうち彼女は妊娠するが、自分で腹を殴って流産しようとする。しかし、9か月後男の子が生まれる。最後には村の小学生がBaiを助け、父親に救助の要請を送るがその父も彼女を救い出すことができない。
■90年代初頭の恥ずべき側面に焦点
検閲について、Li監督は「ここ、カンヌに来る許可を得るのはとても難しかった」と言う。
農村では男の子が好まれるため女の子の赤ん坊は池に沈められるという場面、また医療制度の崩壊についての会話部分を無修正で残すことができた。しかし中国国内向けの同作品「Mang Shan」はそういった場面が削除され、違ったエンディングになるかもしれないという。
ドイツに14年住む監督は、匿名の華僑投資家たちの援助もあり60万ユーロ(約1億円)を集めた。
監督は誘拐された嫁たちにインタビューし、その中の1人に映画で小さな役を与えた。90年代初頭、自由市場への改革が成功したと見える現代中国の恥ずべき側面に焦点をあてている。
Li監督は「中国社会にはびこる『金銭至上主義』的態度と人間の本質にある醜さ、どん欲さ、残忍性、背信の容赦ない露出への批判だ」と今回の映画祭で述べた。
21日に出版されたHollywood Reporter誌はこの映画を絶賛している。「地元のアマチュアとプロを交えたキャスティングが、迫真の演技をさせ完成度の高い作品に仕上げた。特に知的で不屈の気品を備えたBai演じるHuang Luは、完璧な演技力を備えている」(c)AFP