【5月22日 AFP】国際刑事裁判所(International Criminal CourtICC)は22日、中央アフリカ(Central African Republic)で2002年から2003年にかけて起きたとされる「戦争犯罪」の捜査開始を発表した。

 中央アフリカでは、2002年10月のフランソワ・ボジゼ(Francois Bozize)現大統領によるクーデター失敗を機に、アンジュ・フェリックス・パタセ(Ange-Felix Patasse)元大統領派と反体制派勢力の間で紛争が発生。この間に、レイプや虐殺などの行為が行われたとされる。

 ICCのルイス・モレノオカンポ(Luis Moreno-Ocampo)主任検察官は記者会見で、同検察局が担当する事件のなかでも、「性犯罪に関する訴えが殺人の訴えを大きく上回る事態は初めてだ」と語り、「一般市民に対するレイプ件数は、国際法の観点からも看過すことはできない件数にのぼっている」と続けた。

 ICC検事局には、レイプ被害者数百人から証言が寄せられており、なかには、公衆の面前や家族の目前でレイプされた例もある。また多くの被害者が、被害を受けた後は地域で疎外されているという。

 モレノオカンポ主任検察官は、捜査は正義を求めるレイプ被害者の声に答えるものとし、捜査は証拠に基づき、特定の容疑者を対象としたものではないと説明する。

 中央アフリカでの「戦争犯罪」については、同国の最高裁判所が「国内での処理は不可能」と判断、2004年12月に世界初の常設戦犯法廷であるICCに付託された。

 付託に際し、同国政府は、コンゴ(旧ザイール、DRC)のジャンピエール・ベンバ(Jean-Pierre Bemba)副大統領、パタセ元大統領の側近2人およびフランス人警察官1人を書類送検している。

 ベンバ副大統領は、2002年のボジゼ現大統領によるクーデター失敗後、当時のパタセ大統領を支援するため、自身が率いるコンゴ(旧ザイール)の反政府勢力、コンゴ解放運動(Congolese Liberation MovementMLC)を中央アフリカに送っている。(c)AFP