【5月22日 AFP】アンジェリーナ・ジョリー(Angelina Jolie、31)、ブラッド・ピット(Brad Pitt、43)夫妻が21日、第60回カンヌ国際映画祭(60th Cannes Film Festival)特別招待作品『A Mighty Heart』の上映会に登場し、「家族」と「愛情」について語った。英国のマイケル・ウィンターボトム(Michael Winterbottom)監督が手がけ、ジョリーが主演、プロデューサーをピットが務めた同作品は、パキスタンでイスラム過激派に拉致、殺害された米ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)紙の故ダニエル・パール(Daniel Pearl)記者の事件を描いたもの。

 会場で温かな称賛を受けた今作を、ジョリーにとってアカデミー賞助演女優賞を受賞した『17歳のカルテ(Girl, Interrupted)』以来、最高の出演作とする批評家もいる。

 上映会場には、パキスタン国内取材中の2002年にテロリストによって殺害された夫の生き様を描いた『マイティ・ハート―新聞記者ダニエル・パールの勇気ある生と死』を著したマリアンヌ・パール(Mariane Pearl)さんも登場した。

■ジョリー、マリアンヌさんに女性として共感

 ジョリーは、ピットとの子どもを妊娠していた当時、パール記者が拉致・殺害されるシーンの撮影を行っていたという。「私は妊娠6か月で、子どもの父親がいなくなるなんて想像もできないと感じたことを覚えています。夫の安否や食事のこと、睡眠を心配するなんて想像できませんでした」と語った。

 「私は女性としてマリアンヌに強く共感しました。当時、ダニエルの子どもを身ごもっていたことがどんなに心強いことだったか。おなかの中の子どもの存在が、彼女に行動を起こさせたのだと思います」

■プロデューサー、ピットの思い入れ

 ピットは、国連親善大使を務めるジョリーの家族となったことで、様々な問題に立ち向かうようになったと語った。「父親として子どもたちの面倒をみながら、彼らがこの世界を受け継いでいくのだと実感しています。マリアンヌも同様に感じていると思います。少しでも状況を改善できるなら、できることはすべてしていきたい」とピット。

 「過酷な状況下でマリアンヌが見せた強さに感銘を受けました。アンジェリーナが言っているように、マリアンヌが悲しみ、怒り、憎しみのといった感情の中から抜け出したのは不思議なことではありません」と語るピットは、24日に行われる『オーシャンズ 13(Ocean’s 13)』のプレミア上映会にも登場する予定だ。


■理不尽な報道の問題を描く

 この作品を通じてジョリーは、改めて自身とピットが日々直面しているメディアやパパッチの問題について考え直したと語っている。「パパラッチがでてくるシーンがあります。マリアンヌはとても気の毒です。あのような状況で、取材されることに慣れていない一般人のことを報道するなんて、私にとっては本当に信じられないことです」

 作品内では、夫の殺害映像を見たかと質問したCNNの記者に対してマリアンヌさんが激しく言い返す場面が描かれている。記者会見には当時とは大きく変化した記者が出席し、マリアンヌさんに「私のことを許してもらえますか」と質問する一場面もあった。これに対し、「あなたの謝罪を受け入れましょう」とマリアンヌさん。

■映画が原作者に与えたもの

 マリアンヌさんは、ジョリー夫妻と友情をはぐくんだと語り「いつかこの映画をみるだろう息子のことを考えています。つらい時期を過ごしましたが、私を愛してくれる人々によって映画化されたことは、とてもすばらしいことです」とコメントした。

■9.11同時多発テロの影響を考える

 ウィンターボトム監督は本作品を、グアンタナモ米軍基地で不当に拘束された英市民を扱った前作『グアンタナモ、僕達が見た真実(The road to Guantanamo )』の続編としてとらえている。「彼らは9.11同時多発テロ後に起きた対立の影響によって拘束されたと言えます。これは、パール記者とマリアンヌ夫人の身に起きたことと同じことだと私は考えています」「もちろん、拉致や殺害といったことは、間違ったことです。しかし、同じ状況で引き起こされた問題であると思うのです」(c)AFP