<第60回カンヌ国際映画祭>短編映画集『Chacun Son Cinema』で豪華35監督が描く「映画館」への思い - フランス
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【カンヌ/フランス 21日 AFP】カンヌ国際映画祭(60th Cannes Film Festival)の60周年を記念して20日、世界25か国の監督35人が手がけた60周年記念作品『Chacun Son Cinema(英題:To Each His Own Cinema)』の上映会が開かれた。この作品は、35人の監督それぞれが「映画館」を題材に1人あたり3分間の短編を制作したもの。
「映画館」というテーマは、小型液晶画面やインターネットでの映像配信が盛んに行われる現代の映画の行く先に疑問を投げかけるものだ。
■ポランスキー監督
オスカー受賞監督、ロマン・ポランスキー(Roman Polanski)の作品に登場するのは中年の夫婦。彼らは成人映画を見に出かけるが、ある観客のうめき声によって鑑賞の邪魔をされてしまう。しかし、その男性はバルコニー席から転落し怪我を負っていたのだった。
■コーエン兄弟監督
同じくオスカー受賞監督のコーエン兄弟(Joel Coen、Ethan Coen)が出演俳優として選んだのは、コンペ部門作『No Country for Old Men』の主演俳優。劇中では、彼にカウボーイハットをかぶらせ、昨年のカンヌ映画祭で国際批評家連盟賞を受賞したトルコ出身のヌリ・ビルゲ・ジェイラン(Nuri Bilge Ceylan)監督作品『Iklimler(映題:The Climate』のチケットを購入させた。
■ウォルター・サレス監督
『モーターサイクル・ダイアリーズ(Motorcycle Diaries)』で知られるブラジルのウォルター・サレス(Walter Salles)監督は、荒れ果てた村の映画館を舞台に2人のラッパーの姿を描いた。1人が「ここは小さな寂れた漁村。村長の名はジル(Gil)」と歌うと、相方が「(ミュージシャンの)ジルベルト・ジル(Gilberto Gil)か?」と尋ねる。それに対しラッパーは「いいや、ジル・ヤコブ(Gilles Jacob)だ」と、運営代表者のジル・ヤコブ氏の名を挙げ、敬意を表する。
■北野武監督
北野武(Takeshi Kitano)監督は、古い記憶をかき立てる映画館にスポットライトを当てた。とある田舎の映画館に1人の中年男性が現れ、特別料金の「農家チケット(farmer’s ticket)」を購入する。当然ながら、さびた映写機器は何度も故障。男性はタバコを吸い続け、結局映画を見終えることなく、黄昏の中帰路につく。
■中国人監督勢
台湾の侯孝賢(ホウ・シャオシェン、Hou Hsiao Hsien)監督は、1950年代の都会を舞台に幼いころ映画館へ出かけた思い出を描写した。一方、張芸謀(チャン・イーモウ、Zhang Yimou)監督は、同時代を描きながらも小さな映写機とスクリーンを使った村の上映会を題材にした。
■デヴィッド・クローネンバーグ監督
デヴィッド・クローネンバーグ(David Cronenberg)監督は、『At the Suicide of the Last Jew in the World in the Last Cinema in the World.』と題した作品で 、映画の未来について考察した。上映会同日に行われた記者会見で「私たちがよく知っている映画の形式は、すでに過去のものとなっている」と語った。
■ケン・ローチ監督、ナンニ・モレッティ監督
イギリスのケン・ローチ(Ken Loach)監督は、映画界の未来についてのメッセージを意図した訳ではないとしながらも、B級映画のチケットを買う列に並んだ父と子が、2本のうちどちらにするかを決めかね、結局サッカーを見に行くという作品を制作した。 また、イタリアのナンニ・モレッティ(Nanni Moretti)監督の作品は、いやいやながら7歳の子供とハリウッド大作『マトリックス(Matrix)』を見にいくというもの。
■豪華メンバーがずらり
ほかにも、アキ・カウリスマキ(Aki Kaurismaki)監督、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ(Alejandro Gonzalez Inarritu)監督、ラース・フォン・トリアー(Lars von Trier)監督、アンドレイ・ミハルコフ・コンチャロフスキー(Andrei Mikhalkov-Konchalovskii)監督、ガス・ヴァン・サント(Gus Van Sant)監督、ウォン・カーウァイ(Wong Kar Wai)監督らが参加している。
写真は同日、上映会でレッドカーペットに集合した参加監督ら。(c)AFP/Valery Hache
「映画館」というテーマは、小型液晶画面やインターネットでの映像配信が盛んに行われる現代の映画の行く先に疑問を投げかけるものだ。
■ポランスキー監督
オスカー受賞監督、ロマン・ポランスキー(Roman Polanski)の作品に登場するのは中年の夫婦。彼らは成人映画を見に出かけるが、ある観客のうめき声によって鑑賞の邪魔をされてしまう。しかし、その男性はバルコニー席から転落し怪我を負っていたのだった。
■コーエン兄弟監督
同じくオスカー受賞監督のコーエン兄弟(Joel Coen、Ethan Coen)が出演俳優として選んだのは、コンペ部門作『No Country for Old Men』の主演俳優。劇中では、彼にカウボーイハットをかぶらせ、昨年のカンヌ映画祭で国際批評家連盟賞を受賞したトルコ出身のヌリ・ビルゲ・ジェイラン(Nuri Bilge Ceylan)監督作品『Iklimler(映題:The Climate』のチケットを購入させた。
■ウォルター・サレス監督
『モーターサイクル・ダイアリーズ(Motorcycle Diaries)』で知られるブラジルのウォルター・サレス(Walter Salles)監督は、荒れ果てた村の映画館を舞台に2人のラッパーの姿を描いた。1人が「ここは小さな寂れた漁村。村長の名はジル(Gil)」と歌うと、相方が「(ミュージシャンの)ジルベルト・ジル(Gilberto Gil)か?」と尋ねる。それに対しラッパーは「いいや、ジル・ヤコブ(Gilles Jacob)だ」と、運営代表者のジル・ヤコブ氏の名を挙げ、敬意を表する。
■北野武監督
北野武(Takeshi Kitano)監督は、古い記憶をかき立てる映画館にスポットライトを当てた。とある田舎の映画館に1人の中年男性が現れ、特別料金の「農家チケット(farmer’s ticket)」を購入する。当然ながら、さびた映写機器は何度も故障。男性はタバコを吸い続け、結局映画を見終えることなく、黄昏の中帰路につく。
■中国人監督勢
台湾の侯孝賢(ホウ・シャオシェン、Hou Hsiao Hsien)監督は、1950年代の都会を舞台に幼いころ映画館へ出かけた思い出を描写した。一方、張芸謀(チャン・イーモウ、Zhang Yimou)監督は、同時代を描きながらも小さな映写機とスクリーンを使った村の上映会を題材にした。
■デヴィッド・クローネンバーグ監督
デヴィッド・クローネンバーグ(David Cronenberg)監督は、『At the Suicide of the Last Jew in the World in the Last Cinema in the World.』と題した作品で 、映画の未来について考察した。上映会同日に行われた記者会見で「私たちがよく知っている映画の形式は、すでに過去のものとなっている」と語った。
■ケン・ローチ監督、ナンニ・モレッティ監督
イギリスのケン・ローチ(Ken Loach)監督は、映画界の未来についてのメッセージを意図した訳ではないとしながらも、B級映画のチケットを買う列に並んだ父と子が、2本のうちどちらにするかを決めかね、結局サッカーを見に行くという作品を制作した。 また、イタリアのナンニ・モレッティ(Nanni Moretti)監督の作品は、いやいやながら7歳の子供とハリウッド大作『マトリックス(Matrix)』を見にいくというもの。
■豪華メンバーがずらり
ほかにも、アキ・カウリスマキ(Aki Kaurismaki)監督、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ(Alejandro Gonzalez Inarritu)監督、ラース・フォン・トリアー(Lars von Trier)監督、アンドレイ・ミハルコフ・コンチャロフスキー(Andrei Mikhalkov-Konchalovskii)監督、ガス・ヴァン・サント(Gus Van Sant)監督、ウォン・カーウァイ(Wong Kar Wai)監督らが参加している。
写真は同日、上映会でレッドカーペットに集合した参加監督ら。(c)AFP/Valery Hache