【マインツ/ドイツ 21日 AFP】6月にルクセンブルク(Luxembourg)で開かれるEU(Europe Union)農業・漁業理事会でマグロの漁獲量制限が取り上げられることになった。20日、ドイツのルスト・ゼーホーファー(Horst Seehofer)農相が明らかにした。

 スシ人気が高まるヨーロッパでは、マグロ資源の急激な減少が懸念されている。

 EUはマグロとウナギの資源回復方法を模索してきたが、2大漁業国であるフランスとスペインが基準が厳しすぎるという理由で反対しており、合意に至っていなかった。

 ゼーホーファー独農相は、当地で開催された非公式のEU会合で、主要EU加盟国がルクセンブルクでの農業・漁業理事会でこの問題を解決することに合意したと明らかにした。

 前年には、フランス・マルセイユ(Marseille)の漁業従事者と国際環境保護団体グリーンピース(Greenpeace)と衝突が起きている。グリーンピースは捕獲過多で地中海のマグロが絶滅することを危惧している。

 ヨーロッパでマグロを捕獲する国は主にスペイン、フランス、イタリアで、今年の漁獲割当量は前年に比較して8%減少した。しかし、専門家によるとEU加盟国の中には前年と同じペースで操業している国もあり、割当量を超える恐れがあるという。

 専門家は今やマグロの漁獲量は、適切な資源再生が可能な水準の3倍に達していると警告している。

 一方、ウナギ幼生はヨーロッパからアジアに輸出されており、特に珍重される日本と中国では、ヨーロッパでの価格をはるかに上回るキロ当たり1000ユーロ(約16万3000円)以上で取引されている。

 ブリュッセルのEU委員会は、河川におけるウナギ資源保護のため、ウナギ幼生の一定割合を欧州市場に残す規制を検討しているが、スペインとフランスの漁業従事者が反対している。

 2005年にEU委員会に提出された科学調査によると、ウナギ資源は危機的な水準にまで減少しており、このままでは2015年にはヨーロッパでウナギの商業捕獲ができなくなるという。

 写真は南スペインのBarbataで、伝統的なマグロ漁法Almadrabaで水揚げされたマグロ(2006年5月25日撮影)。(c)AFP/JOSE LUIS ROCA