【バグダッド/イラク 19日 AFP】英国のトニー・ブレア(Tony Blair)首相が19日、バグダッドに到着した。同首相は、6月27日に10年間務めた首相職を退くことが決まっており、首相として最後のイラク訪問となる。

■訪問直前に首相官邸や米英両国の大使館に迫撃砲が

 今回の訪問は、警備上の理由で事前に発表されず、バグダッドの英国大使館は、詳しい予定も公表していない。イラク政府当局者も、ヌーリ・マリキ(Nuri al-Maliki)首相との会談を行うことは認めたが、詳細は明らかにしなかった。

 ブレア首相のイラク訪問が発表される直前、米英両国の大使館とマリキ首相の執務室がある厳重警戒区域グリーンゾーン(Green Zone)に2発の迫撃弾が撃ち込まれた。

 負傷者の有無、ブレア首相の到着のタイミングに合わせて攻撃が行われたのかなどの詳細は今のところ不明だ。

■危険が増大する駐留英軍、8月に撤退を開始

 英国は前月1か月間に、イラク国内で進攻後最悪となる12人の死亡者を出した。イラク国内に残る2か所の英駐留基地は、連日、迫撃砲とロケット弾による攻撃を受けている。

 英国内ではイラク戦争への支持は急速に失われており、ブレア首相は8月にイラクからの撤退を開始することを既に発表している。

 ブレア首相は「独裁者であったサダム・フセイン(Saddam Hussein)前イラク大統領を倒す戦いに参加したことは、正しい判断だった」との立場は崩していない。しかし、イラク進攻後の4年間が、当初の見通しよりよりも、はるかに危険だったことは認めている。

■ブレア首相の発言をカーター元米大統領が批判

 米国のジミー・カーター(Jimmy Carter)元大統領は19日、ブレア首相がジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領のイラク政策を支持したことを「言語道断で米国追従、盲目的で従属的でさえある」と強い言葉で非難した。

 カーター元大統領は「英国が、ブッシュ米大統領の誤ったイラク政策を一貫して支持し続けたことは、世界にとって大きな悲劇だった」とBBCラジオのインタビューで述べた。

 写真は同日、バグダッドで記者会見に出席したブレア首相(左)とジャラル・タラバニ(Jalal Talabani)大統領(中央)、マリキ首相(右)。(c)AFP/STEFAN ROUSSEAU