【ロサンゼルス/米国 18日 AFP】自転車レース、ツール・ド・フランス(2006 Tour de France)を制するも、ドーピング疑惑の渦中にいるフロイド・ランディス(Floyd Landis)の公聴会の5日目を迎えた、ランディスのマネージャーであるWill Geoghegan氏が、グレッグ・レモン(Greg LeMond)氏へ迷惑電話をかけたことについて謝罪した。しかし、Geoghegan氏は今回の公聴会で決して不利な証言をさせるためにやったわけではないと語っている。

■レモン氏への迷惑電話

 Geoghegan氏は弁護士を通して「私の電話によって引き起こされたグレッグ・レモン氏と家族への苦痛を心からお詫びしたい。また裁定人やランディス及び弁護団に迷惑をかけたことを謝罪します」とコメントを発表した。

 米国仲裁協会(American Arbitration Association)側の参考人としてレモン氏は、ランディスが疑惑を持たれた2006年8月6日にランディスから受けた電話について証言するため公聴会に召還された。

 レモン氏はランディスがドーピングを行ったかどうかについては断固として証言を避けたが、ランディスのドーピングを告白する要素を含むものであった。

 レモン氏は、ランディスにやったことが事実であったとしても本当のことを話すようにと進めたと話す。

 「現時点でランディスは『なにも理解ができていない。何が良い方法なのだろうか?もし私がやったなら、多くの友達を破滅に追いやるし、多くの人を傷つけてしまうだろう』と話した」とレモン氏は証言する。

 また証言を妨げる目的とされる匿名の電話を受けたとも証言し、それはGeoghegan氏であったとする。

 「本当に恐ろしく気味の悪いものであった」と話すレモン氏は、子供時代に性的に虐待されていたということを告白して会場をぞっとさせ、匿名の電話でそのことを言及されたと話す。

 ランディスは、レモン氏が過去に性的虐待を受けていたことを知る数少ない人物の一人であるため、レモン氏がその電話が公聴会に関係するものであると思っている。

 また、公聴会の会場を後にする際レモン氏は「理由はわからないが、きっと彼らは私が今日ここに来ることを望んでなかったと思う。もし何も悪いことをしていなかったら、今日私がここに来ることを気にはしないものしょう?」と話している。

■ランディスのマネージャーが迷惑電話を謝罪

 この証言を受けてGeoghegan氏は、電話は怒りに任せてのただのいたずらであり、ランディスは何も知らないと話した。

 Geoghegan氏は「私は、偉大な友人であり、偉大な王者であるフロイドが不利に働くようなこの公聴会に対しとても憤りを感じ、愚かなことにこの怒りをグレッグに向けてしまった。ビールを1、2杯飲んだあと衝動的に行動してしまい、グレッグを証言から遠ざけようと考えたことは一度もない。もしあっても、グレッグは強力な競争相手であるため、証言のため決意を堅くさせるように結論を出すであろう。私が行ったことは間違いであり、グレッグにとってとても不当なものであった。この行為はとても恥ずかしいものであり、心からお詫びしたいと思います」と語っている。

 しかしこの件は、ランディスが反ドーピング組織の腐敗に対し、クリーンなアスリートであるということを作り上げてきた名声をよくするものでも何でもなかった。

 写真は、5日目の公聴会に臨むランディス。(c)AFP/GABRIEL BOUYS