【カンヌ/フランス 19日AFP】旧ユーゴスラビアのスロボダン・ミロシェビッチ(Slobodan Milosevic)元大統領などの弁護を務め、テロリストや欧米諸国の秘密情報機関との関係が指摘されていたフランス人弁護士、ジャック・ベルジェス( Jacques Verges)氏(82)を題材にした新作ドキュメンタリーが18日、第60回カンヌ国際映画祭(60th Cannes Film Festival)で公開された。

 『The Terror’s Advocate』と題されたこの映画では、熱心な左派反植民地活動家だったベルジェス氏が、ナチス高官のクラウス・バルビー(Klaus Barbie)氏やトーゴ(Togo)のニャシンベ・エヤデマ(Gnassingbe Eyadema)元大統領、サダム・フセイン(Saddam Hussein)政権下のターリク・アジーズ(Tariq Aziz)副首相といった人物の弁護活動に従事するようになっていく様が描かれている。

 監督は『バーフライ(Barfly)』や『ルームメイト(Single White Female)』などで知られるバーベット・シュローダー(Barbet Schroeder)氏。2時間15分間にわたって伝記形式で描かれ、重要人物のインタビューが挿入されている。

 ベトナム人の母とレユニオン島(Reunion Island)出身の父の間に生まれたベルジェス氏は、若くして反植民地の意識を抱くこととなる。映画の中で彼は、「非白人は白人に道を譲らねばならなかった」と述べている。

 作家であるLionel Duroy氏は「ベルジェス氏は怒りとともに生まれてきた。そして今もそのままだ」と述べる。

 映画についてシュローダー監督は、特定の立場に立ったものではないとしており、「私の意図は登場人物に話をさせることだ。相互に関連する多くの人物の生涯を通じ、事実を明らかにすることで、現代のテロリズムの歴史的経緯をたどることができる」と述べる。

 写真は同日、写真撮影に応じるバーベット・シュローダー監督。(c)AFP/ANNE-CHRISTINE POUJOULAT