【アルジェ/アルジェリア 18日 AFP】アルジェリア(Algeria)で17日、定数389議席の国民議会(下院)選挙の投票が行なわれた。アルカイダ(Al-Qaeda)系のテロ組織による爆破事件の影響で警備が強化されるなかでの投票となった。

■5年前を下回る低い投票率のまま終了

 アルジェリアでは、アブデルアジズ・ブーテフリカ(Abdelaziz Bouteflika)大統領に権力が集中。民主化が進展していないため、低投票率が予測されていた。投票に訪れたのは、1900万人の登録有権者の約3分の1で、投票率は5年前の国民議会選挙を下回った。

 開票作業中の17日深夜、ヌレディーヌ・ゼルーニ(Nouredine Zerhouni)内務相は最終的な投票率が、2002年の46.17%を下回る35.51%だったと発表した。
 投票率は都市部で特に低く、アルジェでは約14%、山間部のカビリ(Kabylia)地方の主要都市ティジウズ(Tizi Ouzou)では約13%だった。

 大勢は17日深夜から18日に判明する見通し。正式な選挙結果は遅くとも21日までにアルジェリアの憲法裁判所が公表することになっている。

■アルカイダ系組織は、投票のボイコットを呼びかけ

 今回の選挙はアルジェリア史上3度目の複数政党制による総選挙だったが、4月11日に首都アルジェ(Algiers)で発生し死者30人、負傷者220人を出した自爆テロ事件が影を落とした。アルカイダ系とみられる北アフリカの組織が犯行声明で今回の選挙を「茶番劇」と呼び、アルジェリア国民に投票のボイコットを呼びかけていた。

 16日にはアルジェリア第3の都市コンスタンティーヌ(Constantine)の市場がある地区で2度にわたり小規模な爆発が起こり、警察官2人が死亡、5人が負傷したことで、治安当局は警戒を強めていた。

 投票のボイコットを訴えるアルカイダの音声テープがカタールの衛星テレビ局アルジャジーラ(al-Jazeera)で放送されたが、低い投票率の理由はむしろ各党の選挙運動が盛り上がりを欠いたことと、国民議会の権限が強くないことにあると政治アナリストは分析する。

■支持者間の小競り合いが数か所での発生

 異なる政党の支持者間の小競り合いの発生が数か所で報告される一方、選挙管理委員会はブーテフリカ大統領に「選挙に伴って発生した重大な不正行為」の調査を求める書簡を送った。

 投票所で起きた衝突は最大与党のアルジェリア民族解放戦線(National Liberation FrontFLN)、民主国民連合(Democratic National RallyRND)、穏健イスラム政党である平和のための社会運動(Society of Peace MovementMSP)の支持者が関係するものがほとんどだが、皮肉なことにFLN、RND、MSPの3党は連立与党を構成している。

 アルジェリアでは、1992年に政府がイスラム原理主義のイスラム救国戦線(Islamic Salvation FrontFIS)が勝利した議会選挙を無効とし、議会を停止したことをきっかけに長期間にわたって流血の事態が続いた。約15万人が殺害されたと推定されている1990年代のイスラム過激派との戦闘を終結させたとして、ブーテフリカ大統領は高く評価されている。

 地政学的に重要な位置にあり、豊富な石油・ガス資源を持つアルジェリアを中東における重要なパートナーと見なす欧州連合(European UnionEU)と米国は、選挙結果に注目している。

 写真は17日、アルジェ市内の投票所の開票風景。(c)AFP/MEHDI FEDOUACH