【モスクワ 17日 AFP】ロシア革命のあおりで国内外二派に分裂していたロシア正教(Russian Orthodox Church)が、現政権の強力な支援を受けて17日、約80年ぶりに正式に再統合を果たした。

 モスクワ最大の聖堂「救世主キリスト大聖堂(Christ the Saviour Cathedral)」で同日に行われた式典では、ロシア正教総主教のアレクシ-2世(Alexy II)と在外ロシア正教会の最高指導者であるMetropolitan Laurus大祭司が再統合の合意文書に調印した。

 1917年10月、無神論を掲げたボリシェビキ党(Bolsheviks)によるロシア革命(ボリシェビキ革命、Bolshevik Revolution)後、共産主義政権は非宗教化政策の下で、聖職者、信徒に弾圧を加えた。弾圧からの逃れるため国外へ逃亡した一部聖職者らは、国内に留まり、1927年に共産党政権への「忠誠宣言」を発表したモスクワのロシア正教会本部に反発し、在外ロシア正教を組織した。以来、ロシア正教会は分裂が続いてきた。

 この1927年の「忠誠宣言」は長らく在外ロシア正教からの批判対象とされてきた。1991年の旧ソ連崩壊によって再統合実現する可能となり、2003年には、両派が「忠誠宣言」を歴史の上での「悲劇的な妥協」とみなすことで合意し、正式に接触を再開した。

 在外ロシア正教会がウェブサイトで、「この合意により、分裂していたロシア正教会内が、ここに正統に一体化された」との声明を発表している。これにより、約50万人の在外ロシア正教徒が一つになる。

 17日の式典には、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領も出席した。プーチン大統領はロシア正教を、ポスト・ソ連時代におけるロシア社会の文化的な柱とみなしている。海外においてロシア文化の地位確立を優先してきた大統領にとって、内外ロシア正教会の再統合は、自身の政策の勝利を象徴するものといえる。

 写真は17日、モスクワの「救世主キリスト大聖堂」で行われたロシア正教の再統合記念式典でスピーチをするプーチン大統領(中央)とアレクシー2世(右)、Metropolitan Laurus大祭司。(c)AFP/MAXIM MARMUR