【カンヌ/フランス 17日 AFP】第60回カンヌ映画祭オープニング作品『マイ・ブルーベリー・ナイツ(My Blueberry Nights)』に選ばれたウォン・カーウァイ(王家衛、Wong Kar-wai)監督と、主演女優を務めた、グラミー賞常連の米国人歌手ノラ・ジョーンズ(Norah Jones)が16日、カンヌ市内で記者会見を開いた。同作品は、監督にとって初めて全編英語で撮影した作品となり、ジョーンズにとっては映画デビュー第1作品となった。今作品は 、『花様年華(In The Mood For Love)』の続編といえるもので、ジョーンズが旅を続ける失意にある女性を演じている。

■起用の決め手は「魂のこもった声」

 映画祭初日の16日に行われたプレミア上映会終了後、トレードマークのサングラスをして登場したカーウァイ監督は、「魂のこもった」ジョーンズの歌声に魅せられ、彼女を主役に起用したと語った。

 「彼女の声は映画にぴったりだと思う。素晴らしい楽器のように、様々な表情を持っているからね。目を閉じ彼女の声を聞いているだけでも、そこからストーリーを感じとることができる」とカーウァイ監督。

 また、ジョーンズの演技については「映画初出演で自然な演技を見せるというのは非常に難しい。しかし、彼女は撮影が進むにつれリラックスしていき、女優として成長を遂げた」とコメント。中でも印象に残っているのは、彼女がジュード・ロウの腕の中で泣くシーンだという。

■ノラ・ジョーンズ、初出演の心境を語る

 これに対してジョーンズは、コンサート・ツアー中にカーウァイ監督から初めて連絡があった際、自分が映画に出演するなど思いもしなかったと語った。「ツアーを終えて、彼の作品『花様年華』を観た時こんなに美しいものは見たことがないと思った。監督への絶大な信頼感から、今回の仕事に飛び込んだようなもの。彼が監督でなければ、映画に出演することはなかった」とジョーンズ。

 ジョーンズは初め、ジュード・ロウ(Jude Law)、ナタリー・ポートマン(Natalie Portman)といった豪華な競演陣にプレッシャーを感じていたという。「撮影2日目に一緒になったジュードとはまったくの初対面だったので、とても緊張した。でも、『この場に飛び込もう』と一度決心したら、緊張は消えていった。最高の演技ができるよう専念した」
 
■カーウァイ監督が考える異文化の描き方
 
 西洋人監督が歪曲したアジア人の姿を描いていると感じていたカーウァイ監督は、今作品で欧米文化に対し「正確な」表現をするよう心がけたという。「ずっと母国語以外の言語で映画を制作したいと思っていたが、この問題は回避したかった」とカーウァイ監督。
 
 「中国人にとってのキスは、西洋人にとってのキスとは違う意味を持つ。その差はとても些細で曖昧だが、私はそこを描ききらなければいけなかった。映画に登場する全ての人物は本来あるように描かれるべきだと思う」

■ジュード・ロウ「自由を感じた」

 ジュード・ロウにとって、カーウァイ監督との初仕事は目から鱗が落ちるような経験だったという。

 「とても強く自由を感じた。時には何が起こるのか知らないまま撮影に参加したこともあったが、次第に恐怖感がなくなり、気が付くと充実感を感じわくわくするようになっていた。たとえ何が起こっていようとも、全ては正しい方向に進んでいると信じていた」。(c)AFP/VALERY HACHE