マイケル・ムーア監督の新作『シッコ』にさまざまな声 - 米国
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【ロサンゼルス/米国 15日 AFP】第60回カンヌ国際映画祭(60th Cannes Film Festival)で新作ドキュメンタリー『シッコ(Sicko)』を上映するマイケル・ムーア(Michael Moore)監督。『ボウリング・フォー・コロンバイン(Bowling for Columbine)』ではアカデミー賞(The Academy Awards)、『華氏911(Fahrenheit 9/11)』ではパルム・ドール(Palme D’Or)を受賞したムーア監督だが、『シッコ』の撮影方法などを巡り、米国内では論争が持ち上がっている。
今回上映される『シッコ』は、「地球上で最も豊かな国で医療行為を受けられない4500万人もの人々を描いたコメディ」。この中でムーア監督は、9.11同時多発テロで救出活動にあたった救助隊員をキューバに連れて行き、医師の治療を受けさせるまでを描いた。
この撮影のためにキューバに入国したことに対し、対キューバ禁輸政策に抵触した恐れがあるとして、米財務省に調査されたことが明らかとなった。しかしそれだけでなく、ムーア監督の撮影方法に対し、新たな疑問の声が上がっているのだ。
■ムーア監督の映画制作をテーマにした映画も
カナダ人映画監督リック・ケイン(Rick Caine)とDebbie Melnykが手掛けた新作映画『Manufacturing Dissent』は、ムーア監督の映画制作をテーマにしたもので、同監督がどのようにして作品内容と関連のない映像を用い、真実を歪曲するかを描いている。
しかし皮肉にも、この2人の監督はムーア監督を尊敬する人物だった。「ムーア監督の政治志向には賛成でした」と語ったケイン監督は、当初はムーア監督を称賛する作品を撮る予定だったという。
しかしながらすぐに、事実の誇張、脈略のない映像の使用、約束違反などがあったことに気づいたという。
この作品で描かれた最も驚くべき真実は、ムーア監督の作品『ロジャー&ミー(Roger and Me)』の根拠が間違っていたというものだ。この作品では、当時のゼネラル・モーターズ(General Motors、GM)のロジャー・スミス(Roger Smith)会長がムーア監督のインタビューを拒否する模様などが描かれた。
カンヌでムーア監督は、『Manufacturing Dissent』について会見を開くことはないかもしれないが、質問されるのは避けられないだろう。
財務省から調査を受けたことは、映画の宣伝という点では絶好のチャンスとなった。広告に関する専門家のEric Dezenhall氏は、エンターテイメント紙バラエティ(Variety)について以下のように語った。
「政府によるマイケル・ムーアの調査は、パリス・ヒルトン(Paris Hilton)が事件を起こすのと同じこと。結局はブランドの宣伝になるのです」
「彼のキャリアを助けることにしかならない。彼が巨大で邪悪な何者かに黙らされている小さな男だという彼のお決まりの主張を立証するようなものです」
■財務省に対抗して協力なチームを結成
ムーア監督の広報担当は、財務省の調査を政治的なものだとして退けた。一方、『シッコ』の支援者らは、医療業界からの攻撃に対抗するため強力なチームを結成した。
『シッコ』を手掛けた映画会社ワインスタイン・カンパニー(Weinstein Company)は、この作品の広報戦略のために、政治戦略家のChris Lehane氏を雇用した。Lehane氏は、アル・ゴア(Al Gore)元副大統領の報道担当官を務め、ビル・クリントン(Bill Clinton)政権ではホワイトハウス(White House)の報道官だった人物。
ニューヨークの広報活動コンサルタント、ケン・サンシャイン(Ken Sunshine)氏もチームに加入した。
「健康管理組織(HMO)から攻撃されれば、やり返すのに2人は必要になるだろう」。ハーヴェイ・ワインスタイン(Harvey Weinstein)氏は今週、バラエティに対しこのように語っている。
しかしながら、米医療業界はムーア監督の客観性に疑問を投げかけ、すでに攻撃を始めている。米国研究製薬工業協会(Pharmaceutical Research and Manufacturers of America、PhRMA)は今週、ムーア監督の制作方法に関し、以下のような声明を出した。
「米国の医療制度の批評は、バランスの取れたものでなければならず、十分に考慮され、調査されたものでなければなりません」
「マイケル・ムーアからはそんなバランスの取れたものは出てこないでしょう」
「マイケル・ムーアは、センセーショナリズムを持った政治活動家。彼は公平なバランスを取ろうなどとは思っていません」
写真は、2004年5月23日、第57回カンヌ国際映画祭(57th Cannes Film Festival)の会場で、パルム・ドールを手に持つムーア監督。(c)AFP/BORIS HORVAT
今回上映される『シッコ』は、「地球上で最も豊かな国で医療行為を受けられない4500万人もの人々を描いたコメディ」。この中でムーア監督は、9.11同時多発テロで救出活動にあたった救助隊員をキューバに連れて行き、医師の治療を受けさせるまでを描いた。
この撮影のためにキューバに入国したことに対し、対キューバ禁輸政策に抵触した恐れがあるとして、米財務省に調査されたことが明らかとなった。しかしそれだけでなく、ムーア監督の撮影方法に対し、新たな疑問の声が上がっているのだ。
■ムーア監督の映画制作をテーマにした映画も
カナダ人映画監督リック・ケイン(Rick Caine)とDebbie Melnykが手掛けた新作映画『Manufacturing Dissent』は、ムーア監督の映画制作をテーマにしたもので、同監督がどのようにして作品内容と関連のない映像を用い、真実を歪曲するかを描いている。
しかし皮肉にも、この2人の監督はムーア監督を尊敬する人物だった。「ムーア監督の政治志向には賛成でした」と語ったケイン監督は、当初はムーア監督を称賛する作品を撮る予定だったという。
しかしながらすぐに、事実の誇張、脈略のない映像の使用、約束違反などがあったことに気づいたという。
この作品で描かれた最も驚くべき真実は、ムーア監督の作品『ロジャー&ミー(Roger and Me)』の根拠が間違っていたというものだ。この作品では、当時のゼネラル・モーターズ(General Motors、GM)のロジャー・スミス(Roger Smith)会長がムーア監督のインタビューを拒否する模様などが描かれた。
カンヌでムーア監督は、『Manufacturing Dissent』について会見を開くことはないかもしれないが、質問されるのは避けられないだろう。
財務省から調査を受けたことは、映画の宣伝という点では絶好のチャンスとなった。広告に関する専門家のEric Dezenhall氏は、エンターテイメント紙バラエティ(Variety)について以下のように語った。
「政府によるマイケル・ムーアの調査は、パリス・ヒルトン(Paris Hilton)が事件を起こすのと同じこと。結局はブランドの宣伝になるのです」
「彼のキャリアを助けることにしかならない。彼が巨大で邪悪な何者かに黙らされている小さな男だという彼のお決まりの主張を立証するようなものです」
■財務省に対抗して協力なチームを結成
ムーア監督の広報担当は、財務省の調査を政治的なものだとして退けた。一方、『シッコ』の支援者らは、医療業界からの攻撃に対抗するため強力なチームを結成した。
『シッコ』を手掛けた映画会社ワインスタイン・カンパニー(Weinstein Company)は、この作品の広報戦略のために、政治戦略家のChris Lehane氏を雇用した。Lehane氏は、アル・ゴア(Al Gore)元副大統領の報道担当官を務め、ビル・クリントン(Bill Clinton)政権ではホワイトハウス(White House)の報道官だった人物。
ニューヨークの広報活動コンサルタント、ケン・サンシャイン(Ken Sunshine)氏もチームに加入した。
「健康管理組織(HMO)から攻撃されれば、やり返すのに2人は必要になるだろう」。ハーヴェイ・ワインスタイン(Harvey Weinstein)氏は今週、バラエティに対しこのように語っている。
しかしながら、米医療業界はムーア監督の客観性に疑問を投げかけ、すでに攻撃を始めている。米国研究製薬工業協会(Pharmaceutical Research and Manufacturers of America、PhRMA)は今週、ムーア監督の制作方法に関し、以下のような声明を出した。
「米国の医療制度の批評は、バランスの取れたものでなければならず、十分に考慮され、調査されたものでなければなりません」
「マイケル・ムーアからはそんなバランスの取れたものは出てこないでしょう」
「マイケル・ムーアは、センセーショナリズムを持った政治活動家。彼は公平なバランスを取ろうなどとは思っていません」
写真は、2004年5月23日、第57回カンヌ国際映画祭(57th Cannes Film Festival)の会場で、パルム・ドールを手に持つムーア監督。(c)AFP/BORIS HORVAT