【パリ 13日 AFP】6日行われたフランス大統領選挙の決選投票で当選したニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)氏の夫人は投票していなかった。加えてこの情報を最初に入手した新聞は、「圧力」に屈してこの記事の掲載を見送っていたと、フランスのニュースサイト「Rue89.com」が13日に報じた。

 Rue89.comは左派の「リベラシオン(Liberation)」紙出身のジャーナリストが作った左派系の新しいニュースサイト。セシリア・サルコジ(Cecilia Sarkozy)夫人が5月6日の決選投票で投票しなかったという情報を日曜紙ジョルナル・デュ・ディマンシュ(Le Journal du Dimanche)が掴んでいたと伝えた。

 しかしRue89.comによると、この記事は同紙の編集長とアルノー・ラガルデール(Arnaud Largardere)社主に「検閲」された。実業家のラガルデール氏は、サルコジ氏の友人でもある。

 同紙のジャック・エスペランデュ(Jacques Esperandieu)編集長はAFPの取材に対し、長時間にわたり検討した結果、「この記事は個人的な領域に属する」との結論に達し、掲載しないことを自ら決断したと述べた。

 しかしエスペランデュ編集長は「この情報が極めて私的、かつ極めて個人的な性格のものであることを強調する電話を何回か受けた」ことを認めた。

 サルコジ氏のスポークスマン、フランク・ルヴリエ(Franck Louvrier)氏は「それは事実ではない」と述べ、サルコジ氏の側近が記事掲載を見送るよう圧力をかけたことを否定した。 

 Rue89.comによると、投票日のサルコジ夫妻の動静を調べていたディマンシュ紙の記者が、セシリア氏が投票していないことに気づいた。記者らは証拠として、選挙人名簿の写真も撮影したという。

 写真は決選投票翌日の5月7日、パリ・シャンゼリゼ通りの有名レストラン「フーケ(Fouquet’s)」を出るセシリア・サルコジ(Cecilia Sarkozy)次期大統領夫人。(c)AFP/THOMAS COEX