【北京 13日 AFP】北京(Beijing)中心部で12日、男が天安門(Tiananmen)に掲げられた毛沢東(Mao Zedong)元国家主席の巨大な肖像画に発火物を投げる事件が起きた。男はこの直後に現地警察当局によって身柄を拘束された。新華社通信(Xinhua news agency)が同日報じた。

 新華社通信の報道によると、取り押さえられた犯人は、新疆ウイグル自治区(Hsinchiang Uighur Autonomous Region)北西部出身のGu Haiou容疑者(35)で、発火物のようなものを紫禁城(Forbidden City)入口にあたる天安門に掲げられた毛元国家主席の肖像画に投げた。これにより、肖像画の左下の一部が損傷した。

 事件発生直後、偶然現場をタクシーで通ったある外交官と写真家は、「向かって左側が燃えていた」とAFPに話している。

 この2人の目撃者によると、大きな炎と黒煙が肖像画の下の部分から出るなか、警官100人ほどが消火活動と現場の封鎖にあたっていたという。

「タクシーを飛び降りたところ、すぐに警官がその場を立ち去るよう求めてきた。事件発生の瞬間は見ていない」と2人の一方は話す。

 彼らは、この事件で肖像画の約15%が焼けたり焦げやすすで黒く損傷したと話す。また、「10分後に現場に戻ると、すでに作業員が肖像画の洗浄を始めていた」と語っている。

 新華社通信によると、損傷した縦6メートル横3メートルの肖像画は、同じ肖像画の別のものに取り換えられるという。

 事件後、現場では武装した警官による警備体制が敷かれている。天安門広場への出入りは制限されていないが、一般市民は紫禁城への入場が禁止された。

 新華社通信は、警察がGu容疑者に対する尋問を続けていると報じている。同容疑者は12日昼ごろに北京に着いたばかりだったという。


 写真は12日、事件後の天安門の様子。いつも多くの訪問者でにぎわう天安門周辺は事件後封鎖状態が続いている。(c)AFP/Frederic J. BROWN