【ガザ市/パレスチナ自治区 12日 AFP】イスラム原理主義勢力ハマス(Hamas)が運営するテレビ局は、ミッキーマウス(Mickey Mouse)そっくりのぬいぐるみが反イスラエル運動への参加とイスラム勢力の勝利を説くという子供番組を放送していたという。
 
 イスラエル政府やパレスチナ自治政府が自粛の要請を行っていたにもかかわらず、これを無視したテレビ局の姿勢に、非難が集中している。

■番組のBGMはイスラム教の歌

 アル・アクサ(Al-Aqsa)テレビが放送するこの番組に登場するのは、ミッキーマウスそっくりのキャラクター「ファーファー(Farfur、蝶々の意)」と共演の女の子。キャラクターがイスラエルと米国への抵抗を呼びかけ、イスラム原理主義の思想を濃厚に反映するメッセージが流される。

 全編を通じてイスラム教の歌が流れ、イスラエルのヤッファ(Jaffa)、ハイファ(Haifa)、アッカ(Acre)、エルサレム(Jerusalem)はパレスチナの領土であると教えられ、パレスチナの歌と敵に立ち向かう歌が流される。

 この番組は、週1回、1時間放映される。

■「期末試験の巻」では、「勉強できないのはユダヤ人が家を爆破したから」
 
 11日に放送されたエピソードは、子供たちに「期末試験の勉強をしっかりしよう」と呼びかける内容。

 アル・アクサテレビのレポーターから「なぜきょろきょろしているのか」と問われたファーファーは、「ユダヤ人が家を爆撃して、本やノートががれきの下に埋もれてしまったから」と答える。

 「君たちは皆、もっとたくさん本を読んで試験にそなえてほしい。ユダヤ人はパレスチナ人が学ぶことを嫌がるから」とファーファーが語りかけるが、肝心の本人は落第したという内容だ。

■「家族がパレスチナ人だから殺された」

 2006年6月には、ガザの海岸でピクニックをしていて、イスラエル軍の砲撃により家族全員を殺され少女の物語。

 少女のの苦しみを描いたこの番組では、「海に行きたい人は誰でも殺される」と「ファーファー」が結論づける。

 「その通り、ファーファー。でも、イスラエルは家族がパレスチナ人だから殺したんだ」とレポーターのHazem Sharawiが口をはさむ。

 続いてパレスチナのイスラム統治を求め、8世紀ムーア(Moor)人の侵攻により奪われたスペインをイスラムに返せという主張が流れる。

 「パレスチナが自由の国に戻り、アンダルシア(Andalus)地方もイスラムに戻ってくる。こんにちは、エジプト、ダマスカス(Damascus)、そしてアルジェリア。全世界がイスラムのものになる」とレポーターが最後に語りかけるという内容となっている。

 写真は11日、アル・アクサテレビの子供番組に出演する「ファーファー」。(c)AFP/MOHAMMED ABED