【カラチ/パキスタン 12日 AFP】ペルベズ・ムシャラフ(Pervez Musharraf)大統領により停職処分を受けたイフティカル・ムハンマド・チョードリー(Iftikhar Mohammad Chaudhry)最高裁長官を支持する野党職員2人が現地時間の12日早朝、南部の都市カラチ(Karachi)で射殺された。ほかにも負傷者が1人発生している模様。警察当局が伝えた。

■対立する2つの集会が予定

 12日、国内ではチョードリー最高裁長官を支援する野党抗議集会の開催が予定されていたが、これに対抗する形で政府支持者らも集会を予定しており、多くの国民らは暴力行為の発生を恐れていた。

 カラチ警察署長がAFPに伝えたところによれば、死亡した2人は、国外追放中のナワズ・シャリフ(Nawaz Sharif)元首相が総裁を務める反大統領派のパキスタン・イスラム教徒連盟シャリフ派(Pakistan Muslim League-NawazPML-N)の職員。警察署長は「被害者は自宅の外に2人で立っていたところを武装集団に銃撃された。現在捜査を進めている」と語った。

■ムシャラフ大統領派の犯行か

 PML-N報道官によると、死亡した2人は同日カラチを訪問するチョードリー最高裁長官を歓迎するため垂れ幕をつるしている最中に銃撃されたという。同報道官は犯行はムータヒダ民族運動(Muttahida Qaumi MovementMQM)によるものと見ていると語った。MQMは、1947年の分離独立時にインドから移住したイスラム教徒の利益代弁を目的に結成された政党で、チョードリー最高裁長官の集会に対抗し、ムシャラフ大統領を支持する集会を開催すると発表していたがいまのところ犯行についてのコメントは出していない。

■停職処分以来相次ぐ抗議活動

 チョードリー最高裁長官は3月9日、職権乱用を理由にムシャラフ大統領から停職処分を受け、これを契機に国内全土で抗議活動が相次ぎ、政治的危機が続いていた。

 ムシャラフ大統領支持者らは12日、最高裁長官の集会に対抗し、首都イスラマバード(Islamabad)で大規模集会の開催を予定している。

 写真は11日、カラチの高等法院前でチョードリー最高裁長官訪問の準備をする人々。(c)AFP/Rizwan TABASSUM