【ロサンゼルス/米国 7日 AFP】7日、伝説的音楽プロデューサー、フィル・スペクター(Phil Spector) の公判で、かつての友人が、悪魔のようになったスペクターが銃をつきつけ「脳みそを吹き飛ばすぞ」と脅し、彼女を強姦しようとしたと証言した。

 ダイアン・オグデン・ハルダー(Dianne Ogden-Halder)によれば、2003年にロサンゼルスのマンションでB級映画女優ラナ・クラークソン(Lana Clarkson)を殺害した容疑で公判中のスペクターは、80年代に二度にわたり彼女が帰宅しようとするのを阻止したという。

 1989年には彼がパサデナ(Pasadena)の自宅で、ライフル銃で脅した上に拳銃を取り出し、繰り返し銃身を彼女の頬や額に押しつけたという。
 
  ロサンゼルス地裁で彼女は「彼は何かに取り憑かれたように話したり、叫んだりしていました。彼は彼でなくなってしまったかのようでした」と述べた。

 グラミー賞における熟練タレント・コーディネーターであるダイアン・オグデン・ハルダーによれば、スペクターは彼女の帰宅を阻むと上階へ上がらせ、性的関係を持とうとしたという。

 スペクターは親密になりたかったのではとの質問にオグデン・ハルダーは「彼はロマンチックな雰囲気にしようと思えばできたのにしませんでした。代わりに拳銃を向けました。彼は私を強姦したかったのです。なぜかはわからないですが」と答えた。

「彼は私に服を脱がせ、性交しようとしました。ただただ不快なものでした。もはや彼ではなくなっていたのですから」

「脳みそを吹き飛ばすなどと言われながら、彼と関係を持ちたくありませんでした。そんなのはちっともロマンチックではありません」

 結局性交は行われず、翌朝彼女が目を覚ますと、スペクターはまるで何事もなかったように歌いながらシャワーを浴びていた。
「奇妙な感じでした。夢を見ただけだったのかしらと思い始めました」と彼女は述べた。

 彼女はスペクターを悪意ある報道から守りたかったために事件を通報しなかったと語った。

「自分に起こったことは一回きりの事件であって、彼には助けが必要だと思っていました。彼のことを通報することはできませんでした」と述べ、「今は間違っていたと思います。よく分かりませんが」と続けた。

 オグデン・ハルダーは帰宅しようとしてスペクターに拳銃で脅されたことを証言した二人目の女性だ。

 検察官はオグデン・ハルダー事件は、スペクターが拳銃を使って女性に対してはたらいた暴力行為のパターンに当てはまると述べた。公判中さらに2人の女性が同様の証言をする予定だ。

 検察官はクラークソンが「長年にわたるスペクターによる犯罪で最後の犠牲者になった」と述べた。

 67歳になるスペクターは孤独を好む天才音楽家であり、60年代に「ウォール・オブ・サウンド(Wall of Sound)」という録音技術を生み出した。2003年2月3日にハリウッドのナイトクラブで出会った当時40歳のクラークソンを、数時間後に射殺した罪に問われている。

 ビートルズ(The Beatles)、ティナ・ターナー(Tina Turner)、ライチャス・ブラザーズ(The Righteous Brothers)、ロネッツ(The Ronettes)、ラモーンズ(The Ramones)らとの仕事を通して名声を得た彼は第二級殺人罪の判決を受けた場合、15年の刑に服すことになる。

 7日早朝陪審員らは、拳銃で女性を脅したとされる1993年にスペクターが女性の電話に残した弁明や怒りに満ちた一連の伝言を聞いた。

 全6件の伝言はドロシー・メルビン(Dorothy Melvin)さんにあてたもので、彼女はスペクターに拳銃をむけられたと証言した一人目の女性だ。
 
 検察官によれば、伝言は1993年にあったとされる事件の直後に録音されたもので、「君は決して間違ったことをしていない」と言っているように、メルビンさんへの行為に対する謝罪ともとれる内容だ。

 しかし続く伝言でスペクターは「私に対する発言に気をつけろ。お前の人生にとって何もいいことはないぞ」と警告している。

写真は、7日ロサンゼルス地裁で証言するダイアン・オグデン。(c)AFP/Getty Images Jamie Rector