【ロンドン 7日 AFP】7日の欧州各国の新聞は、前日行われた仏大統領選の決選投票で右派のニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)氏(52)がセゴレーヌ・ロワイヤル(Segolene Royal)氏を破り次期フランス大統領に決まったことを大きく報じた。

■各紙に驚きの声はなく、今後の「変化に」注目が集まる

 「強硬な社会・経済政策を推し進めるサルコジ氏が、有権者の明確な付託を受けた」との論評が多く、退任するジャック・シラク(Jacques Chirac)大統領が「強硬派」に道を譲ることへの失望の声はほとんどなかった。

 中道左派の独ベルリナー・ツァイトゥング(Berliner Zeitung)紙は、12年間のシラク政権を振り返り、「サルコジ氏がフランスの地位を回復することを、国民だけではなく欧州全体が期待している」。

 同じくドイツの経済紙ハンデルスブラット(Handelsblatt)は、「フランスは抜本的な改革を選択した。第五共和国で最も弱腰の大統領だったシラク氏の12年間の後、エリゼ宮に新しい実力者がやってきた」と述べている。

 中道右派の英タイムズ(The Times)紙は社説で、サルコジ氏の勝利を「フランスの1つの時代にとって、最も重要な政治的変化」と呼び、『フランス版サッチャリズム』を受け入れる覚悟が必要だとフランス国民に呼びかけた。

■サルコジ氏を待ち受ける困難を指摘する論説も

 法と秩序の維持に強硬姿勢で臨むことを公言するサルコジ氏は、2005年に移民が集中する郊外地域で暴動が発生した際に「社会のクズを片付ける」と発言して物議を醸したことは記憶に新しい。

 オランダのフォルクスクラント(De Volkskrant)紙は「サルコジが大統領に就任するフランスは二極化が進んだフランスだ」、スイスのトリビューン・ドゥ・ジュネーブ(La Tribune de Geneve)紙は政治が失敗すれば「容易にデモが頻発するだろう」と懸念も表している。

 右派の英デイリー・テレブラフ(Daily Telegraph)紙は、サルコジ氏が抜本改革に対する国民の負託を受けたことは、疑う余地がないとしているが、「彼はマニフェストを実行するだろうか。財政に規律を、雇用制度にバランスを取り戻すだろうか。厳格な移民政策を実施し、郊外地域に秩序をもたらすだろうか」と疑問も提している。

 複数の新聞がフランスの左派勢力が6月の総選挙までに体勢を立て直すのは難しいと予測しつつ、サルコジ氏も勝利に酔ってばかりいると六月の選挙で反撃を受ける危険があるとしている。

 しかし、スイスのニュースサイト、ル・タン(Le Temps)は、3回連続で選挙に敗れたフランス社会党は「暗い日々」が続くだろうと書いた。

 写真は6日、支持者が集まるパリのコンコルド(La place de la Concorde)広場に設置された大スクリーンに、選挙結果と共に映し出されたニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)仏次期大統領。(c)AFP/STEPHANE DE SAKUTIN