【京都 5日 AFP】アジア開発銀行年次総会が開かれている京都で5日、東南アジア諸国連合(Association of South-East Asian Nations、ASEAN)と日中韓の財務相が会議を開き、金融危機の再発を防止するため、緊急時に外貨を融通し合う2国間の通貨交換協定を多国間協定に改め、各国が個別に準備している緊急支援資金を一元化することで合意に達した。

 10年前にアジア各国を混乱に陥れたアジア金融危機を苦い記憶として共有するこの地域の財務相たちが、経済が急速に成長するアジアで、なお一層の経済成長を実現するため、金融財政の協調を緊密化を検討する協議を開始した。

 10年前多くの国が経常赤字に苦しんだアジアだが、現在では輸出の成長により経常黒字や巨額の外貨準備高をもつ国も現れた。また、アジア各国で経済のグローバル化が進んだ結果、自国の通貨高で競争力を失って苦しむ輸出企業も出る一方で、海外からの巨額の資本流入が議論を呼ぶが事態も懸念される。

 インドネシアのスリ・ムルヤニ・インドラワティ(Sri Mulyani Indrawati)財務相は、年次総会に合わせて開かれたセミナーで、「危機から10年がたって、アジアへの新しい資本流入が始まった兆候がみられる。世界レベル、地域レベルで大きな流動性が見られる。我々はその問題をどう取り扱って行くかが重要だ」と述べていた。

 4日には、日中韓3か国の財務相は会談し、地域通貨危機の再発を防ぐため協力関係をステップアップし、経済の緊密化を進めることで合意していた。

 会議で出された最終文書は、「全参加国は緊急支援資金を一元化する制度が、多国間においても1つの適切な制度であるという点で、原則として同意した」と述べている。

 写真は5日、終了後の合同記者会見で、報道陣を前に話すチャローンポップ・スサンカーン(Chalongphob Sussangkarn)タイ財務相(左から4人目)と各国の財務相。(c)AFP/TOSHIFUMI KITAMURA