【ウディネ/イタリア 2日 AFP】過去10年以上もの間、アジアの映画業界はホラーの基盤を作り上げてきた。現在では、世界中の映画館でアジア映画に影響された作品が大ヒット中である。

■ホラー映画のリメイク版多数登場

 ハリウッドでリメイクされた「ザ・リング(The Ring)」と「The Juon/呪怨(The Grudge)」は、1億ドル(約120億円)以上の興行収入を得ており、映画業界は次の興行収入でトップの座を獲得するためアジアに目を向けている。

 今後1年の間に、 映画がヒットするのとほぼ同時にリメイク権が奪われたオキサイド&ダニー・パン(Oxide and Danny Pang)監督による香港映画「アイ(The Eye)」のリメイク版が公開される予定である。

 「私達はこの映画を国内の人々にむけて作っている。しかし海外の人々はそれがより独創的に見えるのではないか」とタイ映画「13ゲーム・サヨーン(13 Beloved)」をプロデュースしたGenwaii Thongdeno氏は話す。

 「タイやアジアでは、ホラー映画はお化け以上の意味がある。それらが本当に起こることではないかと考えるから」と自身の映画を見てGenwaii氏は話す。同作品のリメイク権は米国のワインスタイン・カンパニー(Weinstein Company)が獲得した。

■ホラー映画上映すれば大繁盛

 「第9回Far East Film Festival(ninth edition of the Far East Film Festival)」では、ホラー映画の将来について熱い議論が交わされた。アジアのホラー映画は、10日間に渡って開催された同映画祭の中心となった。またイベント「ホラー・デイ」では席が取れないほどの盛況ぶりで、『ホラー映画』が大きな成功を収めていることを改めて証明した。

 今年度の映画祭では日本の「口裂け女(The Slit-Mouthed Woman)」、タイの「13ゲーム・サヨーン」、「ペン・チュー・カップ・ピー(The Unseeable)」、「デック・ホー(Dorm)」、韓国の「D-day ある日突然 三番目の物語(Roommates)」、フィリピンの「Sukob」、マレーシアの「Chermin」が特集された。

 「映画を作った市場外で私達の映画が上映され、高い評判を得ている」と「ペン・チュー・カップ・ピー」の主演女優Siraphan Wattanajindaは語る。

 「これらの映画は海外の人たちのために製作されたわけではないが、海外の人たちが映画を受け入れてくれるのを見ることができて、とても素晴らしいことです」

■ホラー映画ヒットの影にはアジア独特の豊富なアイディア

なぜ容易にもホラーが国境や文化を越え受け入れられるのか、それはアジアホラー界独特の豊富なアイディアが大きな理由のひとつと考えられている。

 「マレーシアの映画界はとても新しくとても小さい。政府は私達に援助をしてくれるが、作品は商業用にしなくてはいけない。ホラー映画はとても商業向き」と「Chermin」のZarina Abdullah監督は話す。

 「マレーシアでは2週間ごとに新しいホラー映画が登場する。そのため若い製作者が制作費の援助を受けることができる。加えて、様々なことにトライでき、連続ドラマやラブストーリーよりも新しいアイディアを探索することができる」とも加える。

 韓国のキム・ウンギョン(Kim Eun-kyung)監督が「D-day ある日突然 三番目の物語」で学生に対する厳しい懲罰を取り上げたように、社会的な問題に焦点をあてるためホラーのジャンルを使う製作者もいる。

 「この作品はホラー映画と言われるが、それ以上の意味合いを持つ」とキム監督。

 「このような学校がどれほどの悪影響かを示したかった。同様のケースは韓国にまだいくつか存在する。この映画は、実際の状況に存在し、普通の人々が受け入れられるキャラクターを使うことによって、私達の社会で悪いとされていることを反映させることができた」

■ハリウッドも負けじと多岐に渡る挑戦

 同映画祭のプログラムコーディネーターStephen Cremin氏は、アジア映画をリメイクしただけのハリウッド映画について話す。

 「しばらくの間、欧米諸国は今まで見たことのない、テーマのなかにも精神的傾向を含んだ「リング」のような作品を見せられてきた」と話す。

 「しかし今は、境界線を遠くに押しやる「ソウ(Saw)」のような映画をハリウッドでも見ることができる。しばらくの間アジアは最先端で境界線を破り、新しいことをしてきたが、今度はハリウッドがお返しする番である」とも話した。

 写真は、映画「呪怨2」のワンシーン(撮影日時不詳)。(c)AFP/XANADEUX