【東京 1日 AFP】映画「バベル(Babel)」を映画館で鑑賞していた観客が吐き気などの体調不良を訴えていたことが30日、映画館関係者の話で明らかとなった。体調不良を訴えたのは、名古屋市と三重県四日市市の映画館で鑑賞していた計7人。

 体調不良の原因となった場面は、高校生役を演じている菊地凛子(Rinko Kikuchi)がクラブで踊るシーン。数分間にわたりライトが点滅を繰り返す場面ではないかと言われている。

 名古屋市のミッドランドスクエアシネマのイチジ・トシユキ氏はAFPの電話取材に対し、公開初日の28日に同じシーンで5人の女性が体調不良を訴えたと答えた。

 この劇場では翌29日にも、男性1人が同じような症状をを訴えた。

 また四日市市の109シネマズ四日市では、夫婦で鑑賞に訪れた年配の夫が、体調不良を訴えしばしの休憩が必要な状態だったという。

 「このシーンを直視し続けず、適度に目をそらすようにと注意を促すビラを配布しています」とイチジ氏は語り、上映前に口頭でも注意を呼びかけているという。

 また109シネマズ四日市のハットリ・タカシ支配人も同様に注意を促すとしている。

 アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ(Alejandro Gonzalez Inarritu)監督が指揮を執り、ブラッド・ピット(Brad Pitt)とケイト・ブランシェット(Cate Blanchett)主演のこの作品は、今日のグローバル化した世の中で起きる文化や感情の衝突を描いており、5言語を用い、数か国で撮影が行われた。

 また第79回アカデミー賞(The 79th Academy Awards)では7部門にノミネートされ、菊地凛子は助演女優賞候補だった。

 映像による体調不良は、これが初めてではない。1997年12月には、TVアニメ「ポケットモンスター」を視聴していた数百人の子供たちが病院に運ばれるという事態も起こっている。

 当時は、キャラクターから発せられた5秒間の赤い点滅ライトが原因であるとされた。医療関係者は、テレビ画面から発せられた色と点滅がてんかんと似たような症状を引き起こしたのだろうと語っていた。

 写真は、第79回アカデミー賞授賞式の会場に到着した菊地凛子(2007年2月25日撮影)。(c)AFP/Getty Images Stephen Shugerman