【ベイルート/レバノン 28日 AFP】レバノンでは内戦が終結して17年が経過したが、歴史の教科書をめぐる論争は依然続いており、政治にも影響を及ぼしている。1月には死傷者を出すほどの政治論争市街地で起こり、かつての内戦の恐怖を呼び起こした。

 レバノンでは1958年の内戦も含め、過去の戦争についての共通認識はない。フランスによる23年間の委任統治が終了し、その3年後の1946年にフランス軍が撤退すると、教科書を用いた歴史の授業は中止され、戦争に関する記述が教科書から削除された。15万人の命を奪い、いまだに数千人が行方不明となっているほど国を荒廃させた内戦についてさえ、「あの出来事」という婉曲表現が使われる。レバノンの歴史は、それぞれの出来事が宗教的な価値観に基づき語られるのが一般的となっている。

 秋に大学進学を目指す18歳の学生は、1975年から1990年の内戦について「漠然としか分からない。知っていることは、両親から聞いた話とテレビのニュースで見たことだけ」とAFPに語る。また、大学で会計学を学ぶ23歳の学生は、「我々の世代は記憶の一部が消去され、記憶喪失に苦しんでいるようだ。過ちを繰り返さないためにも、内戦について教育すべき」と述べる。

 写真は、ベイルート(Beirut)でのストライキに参加し、国旗を身にまといながら平和を訴えるする若者。(4月10日撮影)。(c)AFP/JOSEPH BARRAK