【モスクワ/ロシア 27日 AFP】エストニアが同国の首都タリン(Tallinn)にある旧ソ連兵士の銅像移設を敢行したことに対し、ロシア上院のセルゲイ・M・ミロノフ(Sergei M. Mironov)議長は27日、制裁として国交断絶を求める決議案を提出した。

■独立後、最悪の事態となったロシア系住民と警察隊の衝突

 エストニア政府はかねてから、この銅像を「ソ連軍による占領の象徴だ」として、戦没者の遺骨と共に郊外の墓地に5月末までに移動させると宣言していた。

 この決定に反発したエストニア国内のロシア系住民が、タリンでデモを決行。前日26日夜には、デモ隊と警察官が衝突。1人が死亡、43人が負傷したほか、300人以上が拘束された。1991年の旧ソ連からの完全独立後、最悪の事態となっている。

■ロシア政府は「銅像の撤去」に激しい反発を示す

 エストニア政府当は、27日に銅像の移設を敢行した。エストニア政府は銅像撤去に関する声明文の中で、「さらなる治安悪化を防ぐために撤去を実施した」と述べている。

 ロシア外務省報道官は、銅像撤去はエストニア政府による「神への冒涜」であり「非人間的な行為」だとして激しく非難。エストニアとの国交状況を見直すことになるだろうと警告した。

 ロシア上院のミロノフ議長の提出した「国交断絶を求める決議案」は、27日中にも採決が行われる見込みだが、同決議に法的拘束力はない。

 またインタファクス通信(Interfax)も、「銅像撤去は神への冒涜であり、野蛮極まりない行為だ。厳しい姿勢で臨むよう政府に求める」とする、ロシア下院国際情勢委員会のKonstantin Kosachyov委員長の発言を報じた。(c)AFP/RAIGO PAJULA