【マニラ/フィリピン 21日 AFP】米国政府とオーストラリア政府は20日、フィリピン南部で、大規模なテロ攻撃が発生する危険性を警告した。南部ホロ(Jolo)島では19日に、国際テロ組織アルカイダ(Al Qaeda)と関係の深い武装組織が、誘拐していたキリスト教徒の人質7人の首を切断した事件が発生したばかり。

■米豪両国共にミンダナオ島周辺でのテロの可能性を警告

 在フィリピン米国大使館は、「フィリピン南部最大の島・ミンダナオ(Mindanao)島の不特定の地域で、テロ攻撃が発生する可能性がある」との情報を公表した。

 公表された渡航情報には、「米大使館は、テロ集団がミンダナオ島内陸部で、今後数日内に爆弾テロを計画しているとの情報をつかんだ」と述べられている。

 また、同地域の訪問には「計画を十分に考慮する」よう促し、22日から28日まで予定されているコロナダル(Koronadal)市のスポーツ・フェスティバルの会場を含む、公共の場への立ち入りを避けるよう忠告している。目立つ格好を避けるようにとの記述もある。

 また、オーストラリア政府も同国民に対し、アルカイダと関係の深い武装組織が活動するミンダナオ島および近隣のBasilan島、ホロ(Jolo)島、およびTawi-Tawi島などへの渡航に、警告を発した。

 「最近得られた信頼できる筋からの情報によると、テロ集団は大規模な攻撃への最終段階に進んだ可能性がある。攻撃は差し迫っていて、ミンダナオ島内の不特定地域でいつでも発生する可能性がある」と発表。予想されるテロ攻撃は、誘拐などを含む「非常に危険」なものであるとしている。

■政府軍とMNLFは衝突を繰り返し、1996年の平和合意は事実上無効に

 先週、ホロ島でイスラム教の扇動的指導者Habier Malik師の率いるMNLFが陸軍の基地を砲撃。兵士2人と民間人1人が死亡したことがきっかとなり、軍は報復的な攻勢を強めている。イスラム原理主義過激派グループ・アブサヤフ(Abu Sayyaf)、イスラム地下組織・ジェマ・イスラミア(Jemaah Islamiyah、JI)、およびイスラム教分離独立派のモロ・イスラム解放戦線(MNLF) に対する掃討作戦を進めている。

 フィリピン最大規模のイスラム教分離独立派組織だったMNLFは、1996年にフィリピン政府と和平合意に調印した。しかし、限定的な自治獲得では不満とする強硬派指導者が、現在も政府軍との衝突を繰り返し、平和合意の実行は事実上困難を極めている。

 2002年に発生したバリ島爆破事件の実行犯として手配されている2人の容疑者を含むインドネシアのイスラム地下組織・ジェマ・イスラミアのメンバーも、ホロ島でアブサヤフと共に反政府活動を行っているとされている。

 写真は20日、ホロ島で首を切断された7人の犠牲者の1人が納められた棺を運ぶ人々。(c)AFP/THERENCE KOH