【バグダッド/イラク 19日 AFP】前日市内5か所で相次いだ自動車爆弾の爆発により、1日で190人が死亡したバグダッドでは、各地の遺体安置所を訪れ、犠牲となった親族を探す人々が後を絶たなかった。米軍主導の首都の治安計画に対し、疑問の声もあがっている。

 シーア派(Shiite)教徒を狙った18日の一連の爆発による死者は190人に達した。前年11月23日にバグダッド中心部のシーア派居住区サドルシティ(Sadr City)での爆発で犠牲となった1日の死者最高数202人に迫った。

 18日の爆発のうち、通勤客や買い物客を巻き込み、1度に死者140人を出したサドリヤ(Sadriyah)地区の市場での爆発はイラク戦争突入以降、バグダッドで最悪の爆破事件となった。

 サドルシティでは18日、夜間外出禁止令が発令され、朝まで病院の遺体安置所で過ごす親族も多かった。イマム・アリ病院の巨大な安置所では冷凍された遺体が山積みにされる中、「神よ、一体どういうことだ」と叫びながらすすり泣く男性が居た。男性の傍らを、親族の遺体を探しながら苦悶に満ちた表情で通り過ぎる人々は約200人。しかし、グロテスクに重なった多くの遺体は焼け焦げ、身元確認も難しい状態だった。

 遺品として、指輪や着衣の破片、歯などしか持ち帰ることのできなかった遺族も多い。遺体は異臭を放ち始めており、生きていた人間のものとは信じられずにうろたえる家族や、何か所もの安置所を回ることに疲れ、自分の親族かどうか不明の遺体を葬儀のために引き取りに戻る者もいた。「自分の息子でなかったとしても、我々は彼を埋葬するのです」とある男性は述べた。男性はサドリヤの市場での爆発で、兄弟も失った。後には兄弟の息子2人が残されたという。

 市場近くのAl-Kifa通りにあるシーア派のモスク周辺の壁には、犠牲者の氏名が書かれた黒いプラカードがびょうで留められていた。爆発で損傷を受けた店や車両を探しに行く人がいる一方で、友人や家族の名を探す人々がひとつひとつのカードを見つめていた。

 18日の連続爆破は、人口500万人の首都バグダッドで日常化した襲撃を封じ込めるため、2か月前からイラク軍と米軍の部隊計8万人を動員している米軍の治安計画に猛烈な揺さぶりをかけた。

 ヌーリ・マリキ(Nuri al-Maliki)イラク首相は襲撃犯について「異教徒だ」「スンニ派(Sunni)の原理主義者らだ」と非難し、両派の政治家らに宗派を越えて糾弾するよう要求した。また、爆発のあった地域を担当するイラク軍連隊長を拘留しており、今後「市民を保護するために取るべき措置の弱点」について査問する意向を明かした。

 シーア派の強硬派指導者ムクタダ・サドル(Moqtada al-Sadr)師が聖都ナジャフ(Najaf)に構える拠点で活動する同師一派のBassem al-Athari氏は、米国の支援を受ける現イラク政府の治安部隊に一連の事件の責任はあると語る。

 サドル派のSaleh Hassan Issa al-Igaili議員は、「サドリヤ地区やカラダ(Karrada)地区で昨日起こったことは、(米軍主導の)治安計画が真のテロの温床に到達できていないことの証明だ」と述べた。

 写真は19日、バグダッド中心部の貧困地区サドルシティの病院から引き取った兄弟のひつぎにすがりついて泣く男性。(c)AFP/AHMAD AL-RUBAYE