【上海/中国 18日 AFP】中国全土で18日、時速200キロで走行する新型高速列車140本の運行が開始された。鉄道技術における先進国の一角に加わったと自負する一方、実際は大半を「輸入」技術に頼ったという。

 国営新華社(Xinhua)によると、高速鉄道第1便は上海駅から午前5時38分、約80キロ離れた江蘇(Jiangsu)省蘇州(Suzhou)へ向けて出発した。政府は高速列車を年内に、257本まで増便するとしている。

 時速200~250キロの高速走行導入により、国内の乗客輸送能力は1日当たり18%増、席数では34万席分の増加となり、休暇シーズンを中心に慢性的な乗車券不足の緩和に寄与すると期待される。

 しかし、新型高速列車の走行条件を満たす線路は全土で6003キロ分にとどまり、1万4000キロ分では十分に適切でない線路上を時速160キロまで減速して走行することになる。また2万2000キロ分では、時速120キロまでの減速が強いられる。中国政府は2020年までに、1万3000キロの軌道で高速列車の運行を可能にしたいとしている。

 中国鉄道省の胡亜東(Hu Yadong)次官は、政府が「国産技術の成功」と称する成果を称賛した。「高速列車の走行が可能な軌道の総延長は、欧州9か国合計のそれを上回る。1度にこれだけの距離で、運転速度を200キロまで引き上げる例は世界でもまれだ」。

 国内総生産(GDP)世界第4位に達した中国は、単なる世界の組み立て工場ではなく、基幹産業で独自の技術開発ができることを、この高速技術で証明したがっている。

 しかし実際には、車体は川崎重工業などによる日本連合や、ボンバルディア(Bombardier、カナダ)、シーメンス(Siemens、独)、アルストム(Alstom、仏)などとの技術移転契約に基づき、主に海外で製造された。

 写真は18日、北東部遼寧(Liaoning)省の瀋陽(Shenyang)駅で初走行を控える中国の新型高速鉄道。(c)AFP