【ブラックスバーグ/米国 18日 AFP】16日の銃乱射事件では、32の尊い命が奪われた。犠牲者1人ひとりには、さまざまな人生があった。残された家族の悲しみも深い。

 学生を守るため命を落としたホロコースト(Holocaust、ユダヤ人大量虐殺)生存者のイスラエル人教授。生涯を教育にささげたインド人の土木・環境工学教授。踊ることが大好きで、世界をより良い場所にすることを夢見て国際関係論を学んでいたレバノン人女子学生。教員の夫とともに米国に移り住んだカナダ人のフランス語教師。一流大学で学びたいと、フロリダ州の大学からバージニア工科大学(Virginia Tech)に転校したペルー人学生。

■ホロコーストを生き抜いた教授の死

 チョ・スンヒ(Cho Seung-Hui)容疑者による銃乱射事件の犠牲者のリストには、世界各国の出身者が名を連ね、残忍な虐殺行為の無差別性が明らかになった。

 バージニア州警察当局は犠牲者32人の身元をまだ公表していないが、事件から一夜明けた17日、被害の全貌は徐々に明らかになりつつある。レバノン、インド、イスラエル、カナダ。世界各国から大学に集まった教員や学生が犠牲になった。

 亡くなったLiviu Librescu教授(76)は、バージニア工科大学で工学と数学を担当していた。10代の頃ルーマニアでホロコーストに巻き込まれる危機に直面、そこから逃れた生存者だった。

■携帯電話に娘が出ない

 事件で娘のReemaさんを亡くしたJoseph Samahaさんは、まだ正式に遺体を確認することが認められていない。事件ではReemaさんの他にもう1人、レバノン人学生が犠牲になった。

 Samahaさんは16日朝、繰り返し娘の携帯に電話をかけたが連絡がとれず、最悪の事態を予想したという。チョ容疑者が事件現場のノリス・ホールに侵入した時、Reemaさんは同じ建物内でフランス語の授業を受けていたことを後で知った。

 最後にReemaさんを目にしたのは、事件前日の15日。娘が参加するダンスイベント見物のため、夫婦そろって大学を訪問したという。

 Samahaさんは、「娘はあらゆる面で成長の真っ最中でした。大学で自分の得意分野を見つけ毎日を楽しんでいました」とCNNに語った。Reemaさんは、「世界中で発生している問題を解決するため」都市計画を専攻し、国際関係論を副専攻にするつもりだったという。

■悲しみにくれる各国の遺族

 ペルー人学生のDaniel Perez Cuevaさん(21)を亡くした母親のBetty Cuevaさんは、まだ息子の死を受け入れられずにいる。ペルーの首都リマ(Lima)でラジオ局の取材に応じたCuevaさんは、「まだ息子の死を理解できません。息子はまだ大学にいて、また家に帰ってくると信じたい」と語った。

 土木工学教授、G.V. Loganathanさん(51)の出身国、インドの南部タミルナド(Tamil Nadu)州で教授の死を知った兄弟の1人、G.V. Palanivelさんは民放NDTVに対し、「生涯を教育にささげた弟が命を失ったことは非常に悲しい」と述べた。

 カナダ人教員、Jocelyne Couture-Nowakさんの死亡が伝えられたカナダの首都オタワ(Ottawa)では、スティーブン・ハーパー(Stephen Harper)首相が議会で銃乱射事件の犠牲者を悼む演説を行った。犠牲となったCouture-Nowakさんは、園芸学教授の夫とともにバージニア工科大学で教べんをとっていた。

 写真は、銃乱射事件の犠牲となった13人の大学職員と学生。(c)AFP