【ブラックスバーグ/米国 18日 AFP】16日のバージニア工科大学(Virginia Tech)の銃乱射事件から一夜明け、同大で学ぶ約2000人の外国人留学生は、犯人が韓国籍の学生だったことがもたらすかもしれない悪影響の不安を振り払おうとしていた。

■留学生の間でも相反する見方

 16日、同大4年生の韓国人学生、チョ・スンヒ(Cho Seung-Hui)容疑者(23)が大学構内で銃を乱射し学生、教師ら32人を射殺したあと、自身も銃で自殺した。

 AFPが留学生にインタビューを行ったところ、ほとんどの学生は、今度の事件をきっかけに米国社会に外国人留学生への反感がわき起こる懸念はないと思うと語った。しかし、チョ容疑者同様、幼少時に韓国から米国に移住した同大1年のMichael Oppermannさん(18)は、事件が留学生への偏見を助長する可能性はあると危惧する。 

「2001年9月11日の米同時多発テロの後も、アラブ系住民への反感が生じた。時とともに悪感情は徐々に薄れていったが」

 Oppermannさんは、「画一的な外国人像をうのみにするほど米国人は無知ではないと信じたい」としながらも、事件に反感を持つ群衆からの攻撃を恐れ当面は街中を歩きたくないという。チョ容疑者のバージニアの自宅付近に住む、キリスト教会の牧師で中国系米国人のPeter Chenさんも、「1つの悲劇的な事件が、人種や異文化への反発にすり替わってしまう可能性」を危惧する。

■「憎悪に基づく犯罪ではない」と自治会委員長

 一方、バージニア工科大の学生組織はOppermannさんらが危惧するような事態はないと見ている。学生自治会の委員長Adeel Khanさん(19)は「現在、海外出身の学生2000人以上が同大で学んでいる。我々は彼らの存在を心から歓迎する」と語る。Khanさん自身も、パキスタン系米国人だ。

「ここでは外国人学生への嫌がらせなどあり得ない。外国人、米国人を問わず、全ての学生を支援するのが学生自治会の役目だ」

 一方で、Khan委員長は、チョ容疑者の犯行は人種的な偏見がもたらしたとする見方も否定する。「事件は特定の国を狙う、憎悪に基づく犯罪ではない」

■今後の学生選考基準には影響?
 
 ニュージャージー州出身の学生Aaron Mendelawさん(18)は、今回の悲劇的事件が留学生に悪影響をおよぼすことはないだろうとしながらも、大学の入学選考基準には影響するかもしれないと語る。

「外国人留学生への嫌がらせはないと思う。事件の詳細はまだ解明されておらず仮定の話だが、大学側は今後、学生の選択基準を厳しくするのではないか」
 
 今回の事件の犠牲者の中には外国人学生が含まれているという報道もあるが、バージニア州の検死官、Marcella Fierro氏は犠牲者32人の身元が判明するまでにはまだ数日かかるという。ペルー人留学生のDaniel Perez Cuevaさん(21)が犠牲となったと地元リマでは報道されている。また韓国聯合(Yonhap)ニュースがバージニア工科大学の韓国人学生会の話として報じたところでは、土木工学科の韓国人学生Park Chang-Minさんも腕を銃で撃たれたという。

■外国人による銃乱射事件は2か月で2度目

 乱射事件を受け、バージニア工科大は学内に危機対策本部を設置した。事件の死傷者の情報を提供するほか、事件で衝撃を受けた学生らへのカウンセリング支援なども行う。

 米国では2月にも、ユタ州ソルトレークシティ(Salt Lake City)で、ボスニア生まれの18歳の少年がショッピングセンターで銃を乱射し5人を射殺する事件があったばかり。わずか2か月の間に、外国人による銃乱射事件が2回も発生したことになる。

 写真は17日、ブラックスバーグ(Blacksburg)のバージニア工科大のスタジアムで行われた事件の追悼集会に参加する外国人留学生。(c)AFP/Getty Images Scott Olson