【ロンドン/英国 17日 AFP】「指輪物語」の作者J・R・R・トールキン(John Ronald Reuel Tolkien)の未完作品を作者の息子が完成させた小説が16日、発売された。英国の出版社HarperCollinsが発表した。

トールキンは1918年から「The Children of Hurin」と題された作品にとりかかっていたが、完成させるまでには至らなかった。その後、トールキンの3番目の息子であるクリストファー(Christopher Tolkien)さんが30年間近くかけ、バラバラになっていた草稿を1つのストーリーにまとめ上げた。

「長い時間をかけて何度も原稿を読み返し、余計な手を加えず一貫性のあるストーリーを完成させようと試みました」とクリストファーさんは同出版社のホームページで語っている。

「The Children of Hurin」はトールキンが生み出した架空の世界“中つの国”に舞台にしたストーリーであるが、三部作「指輪物語」よりもはるか昔の時代に設定されている。

ホビット族はまだ現れていないものの、エルフ族やドワーフ族、翼のない邪悪なドラゴンなどがストーリーに登場する。

「The Children of Hurin」には、すでに出版されている他の作品に描かれている場面が含まれている。クリストファーさんによれば、この作品がトールキンの“中つの国”を舞台にしている最後の作品だという。

同書の表紙や挿絵は、映画「ロード・オブ・ザ・リング(The Lord of the Rings)」のイラストレーションを務めたアラン・リーが手掛けている。

クリストファーさんは1977年にも未完に終わっていた父親の作品「The Silmarillion」の編集を行った。“中つの国”のあらましを描いた内容で、「The Children of Hurin」の中のストーリーも含まれている。

 同書は本日から世界各国で英語版が発売され、いずれ25か国語に翻訳されるだろうとHarperCollinsは述べている。

 写真は、映画「ロード・オブ・ザ・リング」の合成写真。(c)AFP/New Line Cinema