「初期段階措置」めぐる緊張よそに、「アリラン祭」開催 - 北朝鮮
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【平壌/北朝鮮 15日 AFP】単調な灰色のビルが立ち並び、極度の貧困状態を隠すように表面のみが取り繕われた平壌(Pyongyang)で、世界に例を見ないアクロバティックな芸術公演が催されている。これにより北朝鮮政府は、権力の強大さを誇示しているのだ。
6か国協議で合意された「初期段階措置」の履行期限にあたる14日、世界中の関心は北朝鮮政府の動きに集中していた。そうした状況の中で同国指導者らは、故金日成(キム・イルソン、Kim Il-Sung)主席の生誕95周年を記念し15日に開催される芸術公演とマスゲーム「アリラン祭(Arirang Festival)」のため、惜しみなく出費を重ね着々と準備を進めていた。
座席数15万の世界最大のスポーツ施設、平壌の「5月1日競技場(May 1 Stadium)」で14日夜、80分にわたり開催された公演は、ディズニーランド(Disneyland)やシルク・ドゥ・ソレイユ(Cirque du Soleil)のショーにも匹敵するものだった。唯一の違いは「アリラン祭」が、それらより大規模である点だ。
朝鮮半島の伝統民謡「アリラン」にちなんで名づけられた「アリラン祭」は、バレエやオペラ、ミュージカルなど多様な演目が披露される祭典で、学校や地方自治体を通じて動員された10万人以上の国民が参加する。スタンドでは1万8000人の学生が一糸乱れぬ動きでカラフルなタイルを頭上に掲げ、次々とモザイクを作り出す技を披露。また、民族衣装を身につけた女性らが、走りながら北朝鮮国旗の図柄を作り出す演技も見られた。
■アリラン祭は「忠誠心」の証し
北朝鮮政府は、マカオ(Macau)の銀行、バンコ・デルタ・アジア(Banco Delta Asia、BDA)で凍結されていた2500万ドル(約29億8000万円)が実際に返還されるまで、寧辺(ニョンビョン、Yongbyon)の核施設の停止・封印を内容とする「初期段階措置」の期限内履行を拒否するとの強硬姿勢を貫いている。
2006年10月、北朝鮮は初の核実験を実施。同国はその「核という筋肉」を収縮させ、米国から譲歩を引き出した。同実験では科学者らの決意が示されたが、「アリラン祭」においては、国民の国家に対する忠誠心が示されている。
公演本番に向け、大勢の国民が何週間にもわたり綿密な練習を繰り返してきた。財政難に苦しむ国内では電力が不足し、夕方以降、暗闇に包まれる状態が日常化しているが、練習場所となる公共施設へは、政府当局の方針で夜遅くまで電力が供給された。
■式典のテーマは「南北統一」
金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-Il)総書記の父にあたる故金日成国家主席の生誕90周年を記念し、2002年に初めて開催されたアリラン祭は今回が3度目。式典会場では、北朝鮮が敵視する米国や日本を露骨に非難するスローガンは見られず、代わりにステージ上には「21世紀に向け、より高く、より速く」という巨大文字のメッセージが掲げられた。
アリラン祭におけるもう1つのテーマは、半世紀以上にわたり分断されてきた南北朝鮮の「統一」。式典は、「アリラン国家」「アリランの喜び」「アリランの再統一(テーマ:アリラン国家の分断はいつまで継続するか)」「繁栄する強国アリラン」の4部で構成される。
式典の運営を担当するSong Sok-hwan文化省副相は、「アリランは引き離された恋人のあらゆる悲しみを描いた音楽で、分断された南北朝鮮国民の感情の象徴。これは体操や音楽などを取り入れた芸術公演であり、政治的なものではない」と述べた。
■有力な外貨獲得手段
1946年の建国以来、北朝鮮はさまざまな式典などでマスゲームを披露してきたが、近年、アリラン祭は外貨獲得手段としての性格を帯びている。
外国人訪問者に人気の高麗ホテル(Koryo Hotel)は現在、アリラン祭を目当てに訪れた観光客で混雑している。その大半を占めるのはロシア人観光客だ。
5月末まで開催されるアリラン祭の入場券は50ユーロ(約8000円)から300ユーロ(約4万8000円)。なお北朝鮮国民は、100ユーロ(約1万6000円)の入場券を1.5北朝鮮ウォン(約81円)で購入できるが、これは同国内での外食1回分の価格に相当する。
写真は14日、アリラン祭の様子。(c)AFP/Korean Central News Agency via Korea News Service
6か国協議で合意された「初期段階措置」の履行期限にあたる14日、世界中の関心は北朝鮮政府の動きに集中していた。そうした状況の中で同国指導者らは、故金日成(キム・イルソン、Kim Il-Sung)主席の生誕95周年を記念し15日に開催される芸術公演とマスゲーム「アリラン祭(Arirang Festival)」のため、惜しみなく出費を重ね着々と準備を進めていた。
座席数15万の世界最大のスポーツ施設、平壌の「5月1日競技場(May 1 Stadium)」で14日夜、80分にわたり開催された公演は、ディズニーランド(Disneyland)やシルク・ドゥ・ソレイユ(Cirque du Soleil)のショーにも匹敵するものだった。唯一の違いは「アリラン祭」が、それらより大規模である点だ。
朝鮮半島の伝統民謡「アリラン」にちなんで名づけられた「アリラン祭」は、バレエやオペラ、ミュージカルなど多様な演目が披露される祭典で、学校や地方自治体を通じて動員された10万人以上の国民が参加する。スタンドでは1万8000人の学生が一糸乱れぬ動きでカラフルなタイルを頭上に掲げ、次々とモザイクを作り出す技を披露。また、民族衣装を身につけた女性らが、走りながら北朝鮮国旗の図柄を作り出す演技も見られた。
■アリラン祭は「忠誠心」の証し
北朝鮮政府は、マカオ(Macau)の銀行、バンコ・デルタ・アジア(Banco Delta Asia、BDA)で凍結されていた2500万ドル(約29億8000万円)が実際に返還されるまで、寧辺(ニョンビョン、Yongbyon)の核施設の停止・封印を内容とする「初期段階措置」の期限内履行を拒否するとの強硬姿勢を貫いている。
2006年10月、北朝鮮は初の核実験を実施。同国はその「核という筋肉」を収縮させ、米国から譲歩を引き出した。同実験では科学者らの決意が示されたが、「アリラン祭」においては、国民の国家に対する忠誠心が示されている。
公演本番に向け、大勢の国民が何週間にもわたり綿密な練習を繰り返してきた。財政難に苦しむ国内では電力が不足し、夕方以降、暗闇に包まれる状態が日常化しているが、練習場所となる公共施設へは、政府当局の方針で夜遅くまで電力が供給された。
■式典のテーマは「南北統一」
金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-Il)総書記の父にあたる故金日成国家主席の生誕90周年を記念し、2002年に初めて開催されたアリラン祭は今回が3度目。式典会場では、北朝鮮が敵視する米国や日本を露骨に非難するスローガンは見られず、代わりにステージ上には「21世紀に向け、より高く、より速く」という巨大文字のメッセージが掲げられた。
アリラン祭におけるもう1つのテーマは、半世紀以上にわたり分断されてきた南北朝鮮の「統一」。式典は、「アリラン国家」「アリランの喜び」「アリランの再統一(テーマ:アリラン国家の分断はいつまで継続するか)」「繁栄する強国アリラン」の4部で構成される。
式典の運営を担当するSong Sok-hwan文化省副相は、「アリランは引き離された恋人のあらゆる悲しみを描いた音楽で、分断された南北朝鮮国民の感情の象徴。これは体操や音楽などを取り入れた芸術公演であり、政治的なものではない」と述べた。
■有力な外貨獲得手段
1946年の建国以来、北朝鮮はさまざまな式典などでマスゲームを披露してきたが、近年、アリラン祭は外貨獲得手段としての性格を帯びている。
外国人訪問者に人気の高麗ホテル(Koryo Hotel)は現在、アリラン祭を目当てに訪れた観光客で混雑している。その大半を占めるのはロシア人観光客だ。
5月末まで開催されるアリラン祭の入場券は50ユーロ(約8000円)から300ユーロ(約4万8000円)。なお北朝鮮国民は、100ユーロ(約1万6000円)の入場券を1.5北朝鮮ウォン(約81円)で購入できるが、これは同国内での外食1回分の価格に相当する。
写真は14日、アリラン祭の様子。(c)AFP/Korean Central News Agency via Korea News Service