【ジャカルタ/インドネシア 14日 AFP】野生動物保護協会(Wildlife Conservation SocietyWCS)が13日、前月実施した調査の結果として、スマトラ(Sumatra)島付近のSimeulue島を取り囲む形で群生しているサンゴ礁の大量死を発表した。2005年3月に発生した大地震によりSimeulue島全体が1.2メートル持ち上げられ、周囲のサンゴ礁が海面上に隆起したことが原因という。

■隆起したサンゴ礁は全滅

 WCS所属の海洋生物専門家、Stuart Campbell氏は「これほど大規模の大量斃死(たいりょうへいし)は異例。サンゴ白化現象のような脅威と違い、地震により海水面上に持ち上げられたサンゴは全滅している」と語った。

■回復しつつあるサンゴ、貴重な観察の機会を提供

 だがCampbell氏は「完全に元の状態に戻るには何年もかかるだろうが、サンゴ礁は地震前の状態に戻りつつあるようだ」と語り、浅瀬にサンゴ礁が群生し始める様子が多くの場所で見られると指摘する。

 オーストラリア人のサンゴ礁専門家、 Andrew Baird氏は「地震により突き上げられた、Simeulue島の周囲300キロメートルにわたるサンゴ礁はしっかり保存されている。これにより記録可能となる回復過程はおそらく1世紀に1度観察できるかできないかというほど貴重なもので、従来は化石礁でしか観察することができなかったサンゴ礁の回復過程をめぐる新たな見識が得られるだろう」と語る。

 広域にわたるサンゴ礁は、ダイビングのため国内を訪れる観光客にとって人気のスポットだが、採掘や密漁といった人的活動による脅威にさらされている。

■国内では地震が頻発

 散在する1万7000の群島から成り立つインドネシアでは、地震や火山噴火が頻発している。

 2005年3月に発生したマグニチュード8.7の大地震ではニアス(Nias)島で多数の死者が発生し、そのほんの3か月前に発生したインド洋津波(Indian Ocean tsunami)ではスマトラ島北部のアチェ(Aceh)州で約16万8000人の死者が出ている。

 写真は、Simeulue島西岸で隆起したサンゴ礁の調査をする研究者(2007年3月撮影)。(c)AFP/WILDLIFE CONSERVATION SOCIETY/HO