【バチカン 14日 AFP】イタリア、ドイツ、ポーランドで16日に発売されるローマ法王ベネディクト16世(Benedict XVI)の著書には、世界的大ヒットとなったダン・ブラウン(Dan Brown)の小説「ダ・ヴィンチ・コード(The Da Vinci Code)」などに対する法王の意見も述べられている。

 イタリア語版「Jesus of Nazareth」が13日、メディア向けに先行公開された。歴史的人物であるキリストと福音書に書かれてあるキリストを融和させようとする内容だという。

 同著の中で法王は、「キリスト像を崩壊させ、信仰を覆し、聖書研究で想定された結果ばかりを載せた最悪の著書」を嘆いているが、ローマ・カトリック教会より厳しく非難された「ダ・ヴィンチ・コード」を仄めかしているものと思われる。

 間違った方向に進めば、「聖書の解釈は反キリスト者の道具となりうる」と法王は警告している。

 同著は17言語に翻訳され、南米でも近々出版される見通し。南米といえば最近、スペイン・イエズス会の解放の神学者Jon Sobrino氏の著書がバチカンから批判されている。キリストの神性よりも人性を強調し、その贖罪の役割を無視し、社会的対義に巻き込まれた人物としてキリストを描いたSobrino氏にバチカンが反論したのだ。
 
 「神が一時的にしろ永久的にしろ蔑ろにされる場所では、神より重要だと考えられるものは滅びるであろう」とも法王は書いている。「マルクス主義は、そのうちの一つの例だ」
 
 また同著で法王は、現代社会の問題にも数多く触れている。人類の試みが神により祝福されない場合に起こる出来事の例としてチェルノブイリ原発事故を挙げ、アフリカの人々を、西欧の「ライフスタイル」を潤すために精神的にも物質的にも「略奪された」人々だと表現している。

 ヨーゼフ・ラッツィンガー(Joseph Ratzinger)枢機卿として活動していた2003年に執筆を開始した法王は、同著を「歴史的苦難を無視することなく、聖書を神学的に解釈した」ものだと語る。

 イタリアの出版社Rizzoliによれば、第二巻ではキリストの生誕と「彼の情熱、死、復活の神秘」に触れるという。

 序文で法王は、同著は法王の教導権の一部では「決してない」とし、個人的研究を表したものに過ぎないとしている。

 「私を否定するのは、皆さんの自由です」

 写真は13日、バチカンで公開された第一巻の言語別の表紙。(c)AFP/VINCENZO PINTO