【北京/中国 13日 AFP】来日中の温家宝(Wen Jiabao)首相の12日の国会演説について、13日付中国各紙には様々な反応が見られた。

 中国首脳として22年振りに日本の国会で演説した温首相は、日本側に歴史問題での「深い反省とおわび」について態度と行動で表明するよう要請する一方、日本国民も戦争の犠牲者であるとの認識を示した。また、アジアの二大国である日中関係の障害となってきた両国間の「過去の不幸な歴史」を乗り越えるよう呼びかけた。

■北京の日刊紙「新京報」は訪日を「画期的」と評す

 北京で多くの購読者を持つ日刊紙の1つ、新京報(Beijing News)は、温首相の訪日を「画期的」と評し、日中関係の安定を強調する一方、歴史認識については「適切な対処が必要」とする社説を掲載した。

 また、中国の経済と社会発展に重要な今後10年間、中国は平和的で安定した国際環境が必要であると述べ、「良好で安定した日中関係により不必要なリスクや危機を回避できる。これにより、さらなる発展が可能となる」との見方を示した。

 また、歴史問題についての温首相の発言については、新京報は「未来関係を築くにあたり、両国は歴史を直視する必要がある。歴史問題への適切な対処によって、日中関係に新たな『春』に向けて前進するだろう」と論評した。

■多くの新聞が「演説への論評」を控えなかで

 しかし、多くの中国紙は、温首相の演説への論評は控えており、来日の記事さえ掲載していない新聞もある。

 最大の発行部数を誇る人民日報(People's Daily)は、温首相の演説には一言も触れず、一面には天皇陛下と握手する温首相のカラー写真を掲載した。

 温首相の演説に関する社説を掲載した数少ない1紙、英字紙チャイナ・デーリー(China Daily)は、日中和解ムードの裏にある両国の「戦略」を指摘した。

 同紙の社説では、「急速な経済発展を遂げ、国際的地位を高めつつある中国と、国際社会での政治的地位の拡大を狙う日本との思惑が一致した」とみる。一方で、「中国の発展には、日本との安定関係が欠かせない」とし、「日本人の対中感情を向上させることは、結局、中国国内の反日感情の緩和にも繋がる」とコメントしている。

 「(日中関係には)氷河期もあったが、両国関係の礎は(中国の)秦山や富士山のように強固なものだ」と、両国を象徴する山を例えに使った温首相の演説を引用した。

 写真は同日、京都の立命館大学の野球部員に囲まれたユニフォーム姿の温首相。(c)AFP/Issei Kato