【北京/中国 12日 AFP】2008年の北京五輪開催を控えた北京では、観光客を長年悩ませてきたと同時に笑いのネタにもされてきた「おかしな英語表記」を訂正しようというキャンペーンが前年から繰り広げられている。

 中国では、例えばクラップ・フード(調理食の一種)の英語表記が「Fried Crap(フライにしたうんち)」に、酸っぱい食べ物が「Acid Food(酸性食品)」になる。「スリップ注意(slippery when wet)」が「安全に注意せよ(To take notice of safe)」なる不思議な説明書きに様変わりするのは日常茶飯事である。

 しかしながら、「pubic toilet(公衆トイレ)」さえ通用しないとなると、観光客にとっては深刻な問題だ。

 北京では、北京五輪を前に、つば吐きや列への割り込みの禁止、笑顔の奨励などの「イメージアップ作戦」を展開している。だが、政府当局が最も力を入れているのがこの「おかしな英語排除作戦」で、カメラを携えた監視員らが、障害者用トイレを示す「Deformed Men(奇形児)」や、公の場での飲酒を禁じる「liquor heads(酒の二日酔い)」など、訂正を要する表示や標語の数々を撮影して回っている。

 翻訳ガイドラインも作成され、地方の政府、企業、ホテルやレストランにも配布された。おかしな英語を街ぐるみ、企業ぐるみで排除していこうという努力の一環である。ただし、「法的拘束力」はないため、ホテルやレストランなどでの表記訂正は、政府が管理する標識の訂正よりも困難になることが予想される。

 こうした訂正は、例えば、北京市東部の繁華街にある「肛門と腸の疾患のためのDongda病院(Dongda Hospital for Anus and Intestine Disease)」を「Dongda肛門科病院(Dongda Proctology Hospital)」に簡略化するといった類のものも含まれる。

 北京市のある職員は11日、2006年末時点で、観光地の計1076の表示、計6530の道路標識の英語表記を訂正したと語った。外国人と密接に関係のある医療施設、公衆トイレ、レストランなどの表示については、2万か所以上を点検したという。「これまでのところ順調だ。これからは、各方面からのさらなる協力が必要になる」と、この職員は語った。

 今後は、レストランのメニューを、その内容が外国人にも理解できるように「簡潔かつわかりやすい英語で表記する」プランに着手するという。

 写真は香港の街頭で撮影された、「鳥のエサやり禁止」の標識(2004年12月9日撮影)。(c)AFP/Richard A. BROOKS