【東京 12日 AFP】訪日中の中国の温家宝(Wen Jiabao)首相は12日、日本の国会で演説を行い、日中友好を呼びかける一方、両国関係に付きまとう歴史認識問題について驚くほど融和的な姿勢を示した。

■戦争責任は一部の指導者に

 今回の訪日を「氷を解かす旅」と語る温首相は中国要人として二十数年ぶりに国会で演説し、アジアの2大国である日中両国は、2国間問題を平和的に解決しなければならないと強調した。

 中国の首相として7年ぶりに東京を訪れた温首相は、多くの中国人にとって今もつらい記憶として残る日本の中国侵略と、1931年から1945年まで続いた中国占領の責任は、当時の「限られた数の」日本指導者にあり、一般の日本人も戦争の犠牲者だったと述べた。

■「氷を解かす旅に」

 日本は中国の安価で豊富な労働力と増大する中流階層の消費市場への依存を深めており、両国の経済面の結びつきは年々強くなっている。

 しかし、2001年から2006年まで首相を務めた小泉純一郎氏が、中国、韓国が日本軍国主義の象徴とみなす靖国神社に繰り返し参拝したことで、日中関係は政治的には冷え切った。

 11日夜の晩さん会で安倍晋三首相と寿司と和牛の夕食をともにした温首相は12日、日本の国会議員を前に、昨年10月の安倍首相の訪中は両国間の氷を砕く旅だったが、今回の訪日は日中間の氷を解かす旅にしたい、と述べた。

■歴史問題には触れず

 温首相は国会演説で、東京の靖国神社や、第2次大戦中のいわゆる従軍慰安婦問題に関する安倍首相の発言など、歴史認識に関わる特定の問題には一切言及せず、むしろ国連安全保障理事会(UN Security Council)の常任理事国入りを目指す日本の希望に理解を示した。

 アジアの国として唯一、国連安保理で拒否権を持つ中国は2005年、日本は過去の戦争行為を償っていないとして常任理事国を目指す日本の試みを葬り去った経緯がある。

■東シナ海を「平和の海」に

 温首相は 「中国は対話の強化を通して、日中の相互理解を深める用意がある」と語ったが、日本の常任理事国入りへの支持は慎重に避けた。

 温首相は、両国間で最大の問題となっている東シナ海のガス田をめぐる対立についても対話を呼びかけ、「この海を平和、友好、協力の海にしたい」と述べた。

 写真は同日、国会で演説する温家宝首相。(c)AFP/KAZUHIRO NOGI