【ロンドン/英国 24日 AFP】仏財政界の大御所でPPR(前ピノー・プランタン・ルドゥート)の元会長、フランソワ・ピノー(Francois Pinault)氏が今月発売された英アート・レビュー誌にて最もアート界に影響のある人物と発表された。

 『アート・レビュー』誌は5年前の創刊以来、アート界に影響を与える人物ベスト100のランキングを行っている。ランキング1位は、アメリカ人でもイギリス人でもなく、常にフランス人であったと同誌編集者は語る。

 フランソワ・ピノー氏はグッチ、ボッテガ・ベネタ、イヴ・サンローラン、アレキサンダー・マックイーンを傘下に置くPPRの大株主であり、ファッション界に多大な影響力を持つ。

 それと同時にモダンアートの収集家としても知られるピノー氏は、英老舗オークション会社クリスティーズの株主でもある。

 編集長のジョン・ウェイシュ氏は、ピノー氏が1位を獲得した理由を「今年はクリスティーズ社にとって大変勢いの良い年。さらにポイントを上げた理由はベネチアにあるパラッツォ・グラッシ美術館の存在だろう」と語る。

 ピノー財団は2005年に2900万ユーロでパラッツォ・グラッシ美術館を購入し、館内に同氏のコレクションを所蔵。フランスで最も有名な現代アートの作品を多く所有する同美術館は、政治的にも大きな話題を呼んだ。

 また昨年ピノー財団はセーヌ川の上に浮かぶルノー工場跡地セガン島に美術館を設立する計画を遂行していたが、実務上の遅れに耐えかね断念した。結果、ベネチアのパラッツォ・グラッシ美術館内にピノー財団を開設する施工工事を今年4月に開始した。

 パラッツォ・グラッシ美術館には20世紀の偉大なアーティスト、アメリカの彫刻家ドナルド・ジャッド、フランスのマルチメディア作家ピエール・ユイグ、イタリアのピエロ・マンゾーニなどの作品が所蔵される。

 なおアート界に影響を与えるベスト100人のランキングは、アメリカ人40人、イギリス人25人、ドイツ人9人、スイス人9人、フランス人7人、中国人3人がいずれも上位に並でいた。

1位 フランソワ・ピノー
2位 Larry Gagosian
3位 Nicholas Serota
4位 Glenn Lowry
5位 Sam Keller
6位 Elie Broad
7位 Charles Saatchi
8位 Matthew Slotover and Amanda Sharp
9位 Bruce Nauman
10位 Jeff Koons

写真は、2006年11月9日にパラッツォ・グラッシ美術館にてピカソ作『La Joie de Vivre』を背景に微笑むピノー氏。(c)AFP/ALBERTO PIZZOLI