【ドーハ/カタール 9日 AFP】世界の主要ガス輸出国が9日、ドーハに集まり国際的なガスカルテルの創設について協議する。具体的な構想はまだないものの、ガス消費国の間では懸念が広まりつつある。

 ガス輸出国フォーラム(Gas Exporting Countries Forum、GECF)は、米国の主要な同盟国で、世界最大の液化天然ガス (liquefied natural gas、LNG)輸出国を目指しているカタールで2日間の日程で会議を開く。

 2001年に創設されたGECFは15か国で構成される非公式な機構で、ロシア、イラン、カタール、ベネズエラ、アルジェリアが参加しており、合わせて世界の埋蔵量の72%、生産量の42%を占めている。

 これまで同フォーラムの活動は活発ではなかった。会議が開かれるのも2005年以来のことだ。

 GECF創設以来6度目となるドーハでの会議では、主に、石油輸出国機構(Organisation of Petroleum Exporting Countries)にならったガス生産国のカルテル創設について検討される。

 イランが特に積極的な「ガス版OPEC」創設というアイディアは、前年8月にヨーロッパの2大天然ガス供給会社であるロシアのガスプロム(Gazprom)とアルジェリアのソナトラック(Sonatrach)社が協力協定を結んだことで注目を集めた。

 さらに今年2月、世界の確認埋蔵量のおよそ30%、生産量のおよそ20%を擁するロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が、 この計画を指して「興味深い」と述べたことで、一層関心が高まった。

 西欧諸国は、ロシアが他のガス生産国と協調して生産量を調整し、消費者に対する影響力を強める可能性を憂慮している。

 しかしロシアのエネルギー相は6日、ガス輸出国が 「ガス版OPEC」の創設を発表するのではないかとの見方に対し、ロシアがそのような組織に加わることは全くあり得ないと語った。

 「我々が1つの価格政策にサインするとでもいうのか?そんなことはあり得ない」と、ヴィクトル・フリステンコ(Viktor Khristenko)露産業エネルギー相は記者会見で語った。

「我々は、いかなる相手に対してもそのような関係を構築する方針を過去に持ったことはないし、現在も持っておらず、将来も持つことはない」。

 また同相はドーハでの会合について、「GECFの実効性を上げる方策」と参加国間の「協力の強化」がテーマになるだろうと語っている。

 「この機会を利用して、国際的なエネルギー対話の場を設定することはロシアにとって重要だと考えている」。

 国際エネルギー機関(International Energy Agency、IEA)は2月、ガス生産国のカルテルは需要を減退させ、結局は生産国に損害に与えることになるだろうと警告している。

 「カルテルは消費者と消費国にとって常に悪いニュースだ。生産国にとっても悪い結果を招く」。

 「カルテルを作って価格をつり上げると、消費者は需要を減らし、別の燃料に切り替えるだろう」。

 IEAのクロード・マンディル(Claude Mandil)事務局長は5日、ガス生産国が成功裏に「ガス版OPEC」を作るのは非常に難しいだろうと話す。

 マンディル事務局長は石油業界の会議のため訪れたパリでAFPの取材に対し、「OPECが石油市場で作り上げたメカニズムを、『ガス版OPEC』がどうすればガス市場に作ることができるのか、私には分からない。私はあまり心配していない」と語っている。

 写真は、カタールの北にあるアル・シャマル(Al-Shamal)ガス田のガス採掘プラットフォーム。(撮影日不明)(c)AFP