【ギゾ/ソロモン諸島 6日 AFP】2日にマグニチュード8.0の地震と津波に襲われたソロモン諸島で救援活動を行っている医療チームは6日、早急な追加支援物資の供給がなければ、地震・津波による被害者よりも、その後の感染症などによる被害者のほうが拡大する恐れがあると警告を発した。

 家を失った数千人の被災者が集まる避難所は、浄水の不足や下痢のまん延などの問題に直面している。救助隊は困難な状態の悪化を防ぐため、時間との戦いを強いられている。

■飲料水と汚水の処理が急務

「目下の課題は、避難所での飲料水の確保とトイレの設置だ」と現地で支援事業を展開する「ワールド・ビジョン(World Vision)」のマーティン・トーマス(Martin Thomas)氏は語る。

「衛生状態を改善するだけで、人命を救えるのです。万が一、感染症などが広まれば、それによる犠牲者の数は津波そのものによる犠牲者の数を上回ることになる危険性もあります」(トーマス氏)

 現地の劣悪な状況については、政府当局も声明で、「最新の報告によれば、ギゾ島での飲料水確保は非常に難しく、公衆衛生状態はかなり悪い」と認めている。ソロモン諸島西部に位置するギゾ島(Gizo)は、今回の災害で最も深刻な被害を受けた地域の1つ。

 最大5メートルの高さに達した津波は貯水槽を破壊し、井戸は海水に汚染された。突然の浄水の不足により、今後数日でさらなる死者が出る恐れもある。
 
■難航する救援活動、明らかにならない被害状況

 地震で孤立した地域への進入路確保に救援隊が苦心していることも、犠牲者数の増加につながりうる。トーマス氏は、「孤立地域では、たった今作られたばかりといった感じの墓をいくつも見かけます」と現地の惨状を明らかにした。

 現時点までの衛生状況改善策としてギゾ島では、赤十字(Red Cross)が全避難所に浄水錠剤を配布。また、津波で病院が被害を受けた後に設けられた道路脇の医療施設に、ろ過装置を設置した。

 さらに、ユニセフ(UNICEF)の移動式病院も建てられた。また、島内の滑走路が再開されたことを受け、仏軍航空機が首都ホニアラ(Honiara)から2日目となる空輸援助を行うもようだ。

 2日の津波と大地震では、少なくとも34人が死亡し、5500人が住居を失った。国連(UN)によると、ソロモン諸島の西部州とショアズール(Choiseul)州 では、全人口の半数にあたる5万人が被災したもようという。ソロモン諸島の南西に位置するオーストラリアのグレッグ・ハント(Greg Hunt)外務政務次官は、諸島内では依然として最大100人が行方不明になっていると述べた。

 写真は5日、ギゾ島向けの国連救援物資を積み込む仏空軍当局者。(c)AFP/William WEST