【東京 4日 AFP】山梨県の美術館が所蔵していた挿絵が、アントワーヌ・ド・サンテグジュペリ(Antoine de Saint-Exupery)の著名な童話「星の王子さま(Le Petit Prince)」の原画であることがわかった。

 サンテグジュペリのおいで来日中のフランソワ・ダゲー(Francois D’Agey)さん(81)が4日、本物であることを確認した。

 原画は、サンテグジュペリの署名入りの水彩画で、太った実業家がデスクに座り宇宙の星の数を慌ただしく帳簿に記録している「星の王子さま」の1シーンを描いたもの。

 記者会見でダゲーさんは、原画の発見を「とてもうれしい」と語り、「叔父の手書きの原画を目にして心が動かされた」と感動した様子で話した。

 空軍パイロットだったサンテグジュペリは、第2次世界大戦中の任務で飛行中に消息を絶っている。

 ダゲーさんは「感情的になりがちなので、家族に関係する事柄には、特に画期的な発見などという話には、普段は慎重に対処するようにしている。でも、この原画は本物である可能性が限りなく高い」と説明する。

 1943年に出版された世界的なベストセラー「星の王子さま」は、砂漠に不時着した飛行士が、空から落ちてきた金色の髪の王子と出会い、王子から不可解な人間界の事象についての質問攻めに合うという、表面的にはシンプルなストーリーだ。

 子ども向けに書かれた同作品だが、哲学的ともいえる深遠なテーマを秘めており、大人の琴線にも触れる物語となっている。

 原画の持ち主は、山梨県で絵本の美術館を主宰する渋谷稔さん(60)で、1994年に東京の古書市で購入した。今年の2月になって初めて、挿絵が1943年に米国で出版された初版本のものであることが判明したという。

「購入した時に、原画であることは知っていたが、これほど貴重なものだったとは思わなかった」と述べたが、購入額については明かさなかった。

 美術専門家の鑑定の結果、紙種、鉛筆による印の跡、ページ数が、ニューヨークのモーガン図書館(Morgan Library)に保管されている初版本と一致したという。

 ダゲーさんによると、サンテグジュペリは「長身には似合わない優しい声の持ち主だった」という。

「大人でも子どもでも人との交流が大好きで、いつでもどこでも絵を描いていた。叔父の絵が世界各地に散らばっているのは、多分そのせいだろう」

 今回発見された「星の王子さま」の原画は、サンテグジュペリの他の挿絵などとともに、東京・銀座の松屋デパートで4月25日から5月7日まで展示される。

 写真は4日、都内で行われた記者会見で「星の王子さま」の原画を見せるダゲーさん。(c)AFP/Yoshikazu TSUNO