【香港 3日 AFP】マカオの2006年度のカジノ収入が70億ドル(約8314億円)に達し、米国のラスベガス(Las Vegas)を抜いて収益では世界最大のカジノとなった。3日発表の2006年度GDPを基に、マカオ政府が確認したもの。

■2006年度第4四半期の収益が、ラスベガスを上回る歴史的快挙

 中国南端に位置し、世田谷区の半分ほどの面積を持つ特別行政区、マカオで営業するカジノは22件。このカジノ全体の2006年度第4四半期の収益が、167億パタカ(約2480億円)に達した。2006年度の総収益は562億パタカ(約8346億円)だった。

 一方、大規模なカジノが立ち並ぶラスベガスのカジノ40数件の総収益は66億ドル(約7840億円)で、マカオの総収益にわずかながら届かなかった。

 2006年10月には、アナリストらは既にマカオのカジノ収入がラスベガスを上回るとみていた。これが、3日のGDP発表で正式に裏付けられた形となり、マカオ当局が初めて公式に歴史的な成果を確認した。

■2001年の外資参入により、めざましい飛躍を遂げる

 マカオの伝統産業であるカジノ産業は、40年の長きにわたって地元財閥のスタンレー・ホー(Stanley Ho)によって独占されてきた。

しかし、2001年にマカオ当局が、カジノ産業への外資参入を認可。長らく停滞していたマカオのカジノ産業に、米国系を主とする250億ドル(約3兆円)もの外国資本が急激に流入し、カジノ産業は目覚ましい収益をあげるようになった。

 ラスベガスのカジノ大手、サンズ(Las Vegas Sands)が、2004年マカオにマカオサンズ(Macau Sands)を設立。低迷していたカジノ産業を立ち直らせ、マカオから「犯罪都市」のイメージを払しょくさせた。

 また、スティーブ・ウィン(Steve Wynn)氏のウィン・リゾートやMGMミラージュなどの大手米カジノや、オーストラリアのクラウン・カジノ(Crown casino)、香港のギャラクシー(Galaxy)などが、外資優遇措置の恩恵を受けマカオのカジノ産業に参入を果たしている。

 一方で、スタンレー・ホー氏のマカオのカジノ産業への影響力は衰えていないという。

■カジノ産業を支える中国本土からの観光客は、今後も増加見込み

 各国のギャンブル産業を調査するラスベガスのシンクタンク、Globalysisと提携するマカオのアナリスト、Jonathon Galaviz氏は、「カジノ産業の隆盛により、マカオの観光産業が再び上昇機運が訪れた」と語り、中国本土からの観光客の急増により、今後もマカオのGDP成長率とカジノ収益増は続くとみている。

 マカオの好景気は、中国での爆発的な観光人気によるところが大きい。長らくポルトガル領だったマカオが1999年に中国に返還され特別行政区となり、中国人のマカオ渡航が解禁となった。2006年にマカオを訪れた観光客は過去最大の2200万人で、そのうち半数以上の1200万人が中国本土から、700万人が香港からの観光客だ。

 写真は2月11日、オープンを前に報道陣に公開されたグランド・リスボア(Grand Lisboa)のカジノ。(c)AFP/Samantha SIN