【ランス/フランス 4日 AFP】フランスの誇る高速列車TGVが3日、車輪のついた列車の世界最高速度となる時速574.8キロを記録した。

■マッハ0.5に到達

 パワーアップした2台のエンジンを搭載し、超特大の車輪で走るTGVは、1990年に従来のTGVが出した時速515.3キロの記録を塗り替えた。最速走行時には音速の半分のスピードが出たことになる。

 各国ジャーナリスト、技術者に加え、中国やインドから招かれた政府高官や財界指導者などの来賓が3台の客車に搭乗し、新記録達成の瞬間に立ち会った。

 走行スピードを示す車内のビデオモニターには運転席からの眺め、走り去るレール、上空から監視する飛行機の3つの映像が交互に映し出された。

 今回の記録走行はパリと、シャンパンの産地で有名なストラスブール(Strasbourg)間の特別路線でおこなわれ、TGVが速度を上げるにつれ車内の揺れも激しさを増した。

■緊張と歓声、そして安堵

 時速400キロを超えた時点から緊張は一気に高まり、1990年の記録が破られた瞬間には歓声が上がった。さらに時速574.8キロの世界新記録樹立がアナウンスされるとフランス人技術者の顔に安堵の色が浮かんだ。

 コードネームV-150と名付けられた特別列車は最速時には秒速150メートルを突破したことになる。数か月前にもそれに近い記録が出されたが、公式の記録が測定されたのは今回が初めて。

 しかしこの記録も、車輪とレールが接触せずに走る日本のリニアモーターカーが2003年に出した時速581キロにはわずかにおよばなかった。

■「リニアと競り合うつもりはない」

 パリ=ストラスブール間を結ぶフランス鉄道線路公社(RFF)のPatrick Lannoy理事は、日本のリニアモーターカーの記録に迫るのは危険が大きすぎると説明。「リニアの記録に挑戦するなど論外。時速580キロを超えたら、そこは人類にとって未知の領域になる」。

 フランスのTGVは1981年に開業。全長1600キロの路線を時速320キロで毎日運行している。パリ=ストラスブール間の新路線は7月に開通予定で、所要時間をこれまでの4時間から2時間20分に短縮する。

 写真は同日、記録達成後にランス(Reims)駅に停車するTGV。(c)AFP/FRANCOIS NASCIMBENI