【重慶/中国 3日 AFP】所有者が大規模開発にともなう立ち退きに断固として応じなかったことで有名になった家がついに解体された。しかし、3年にわたる闘争は所有者に大きな利益ももたらしたようだ。

 開発業者との争いで「頑固なクギ」の異名をとった呉蘋(Wu Ping)さんと夫が所有するれんが造りの2階建ての建物は、2日深夜に解体された。

■抵抗の末に手に入れた新しい家と賠償金

 掘削された工事現場の真ん中に残された1軒の家というドラマチックな写真の影響もあって注目を集めた呉さん夫婦の苦境は、中国の財界に立ち向かう普通の人のシンボルとなった。

 しかし、最後まで耐えぬいた呉さん夫婦は大きな利益を得たようだ。重慶(Chongqing)の裁判所は3日、元の家の近隣に300万元(約4600万円)相当の新しい家を与えると発表した。

 さらに呉さん夫婦には、抵抗中の3年間に開発業者が水道と電気を止め、自宅への通行を妨げたことへの賠償金として90万元(約1300万円)も支払われる。

 重慶市九龍坡区人民法院長のJiang Li氏は「本件は適切に処理された」と述べた。

 呉さんはかねてから、同じ地区内に同程度の大きさの家と、自宅で順調に経営していたレストランの補償金として100万元(約1500万円)を要求したいと述べていた。

■地元住民は呉さんを称賛

 自宅解体直後にAFPが呉さんに取材を試みたところ、コメントは控えたいとのことだった。解体の知らせを受けたときの呉さんは、「そうですか」と言葉少なに答えただけだったという。

 呉さんによれば、解体の1週間以上前から徹夜で家にとどまり、合意がまとまるまで家を出ることを拒否していた夫のYangさんも、解体前に無事に家を出たという。

 解体翌日の3日の朝、「最も有名な家」が無くなっていることに気付いた近隣住人は、呉さんに称賛の声を送った。住人のひとりは、「彼女は政府や開発業者に立ち向かいました」と語っている。

 280戸が受け入れた補償条件を呉さんが拒否して以来、大規模開発はいったん棚上げされ、激しい法廷闘争が繰り広げられていた。

 写真は、開発予定地に1軒だけぽつんと残った呉さんの家(左、2007年3月10日撮影)と、解体翌日、ついに更地になった工事現場で掘削機を操作する作業員。(c)AFP/MARK RALSTON/ROBERT SAIGET