【バンガロール/インド 2日 AFP】年間480億ドル(約5兆650億円)規模を誇るインドのIT業界では、人件費の上昇と優秀な人材の不足という2つの問題が、これまで優位に立ってきた同国の競争力に影響を及ぼし始めている。

 インドのIT業界では、国際市場における同国の優勢に切り込もうとする中国やフィリピンへ、より高い給与を求めて転職する者が増え、またルピー高を嫌う傾向や、通信環境や交通などインフラ基盤の整った都市へ流出する傾向が目立っている。

 国際企業情報調査会社、ダン・アンド・ブラッドストリート (Dun and Bradstreet)のKaushal Sampat最高執行責任者は、「こうした問題は、業界全体がグローバル規模で対処しなければならない」と語る。

 同社では前週、インドIT業界に関する報告書を初めて発表。同業界では過去10年間、インフォシステクノロジーズ(Infosys Technologies)やウィプロ(Wipro)、タタ・コンサルタンシー・サービシズ(Tata Consultancy Services)、サティヤム・コンピューター・サービス(Satyam Computer Services )といったソフトウェア企業に後続する企業も成長し、業界全体で国際的に頭角を現してきた。

 報告書によると、前週、過去11年で最高の対ドル高を記録したルピーの上昇により、インドIT業界における従業員の退職率が25%に達したという。2009年までに約50万人の熟練した人材の不足が見込まれ、人材を確保しようと年間15%のペースで賃上げが進んでいることも、業界にとってのリスクとなっている。
 「国内インフラの限界、中国やフィリピン、ベトナムなど低賃金の人材を提供する他の国際企業との競争と合わせ考えると、IT企業の業績に悪影響を及ぼす可能性がある」(Sampat最高執行責任者)

 年間7%の伸びを見せ、2010年までに全世界で2兆ドル(約235兆6800億円)を超えると見込まれるIT関連支出の増大や、欧州における新市場開放といった業界にとっての好条件も、熟練した人材の不足と人件費の上昇で相殺されつつある。

 写真は、バンガロール(Bangalore)で開催された情報通信フェアの会場(2005年10月29日撮影)。(c)AFP/Dibyangshu SARKAR