【アムステルダム/オランダ 31日 AFP】アムステルダムの風俗街で31日、地域活性化の大胆な策として、性産業に従事する男性が女性と立場を変えて風俗店の店先の窓に自身を陳列し、女性客の指名を待つ姿が見られた。

「わたしは昨年、多くの女性客が風俗街に足を運んでいることに気がついた」と語るのは、売春情報センター（Prostitution Information Centre、PIC）のMariska Majoorさん。Majoorさんは、風俗店地域の「前向きでお祭り気分」をアピールする第2回の公開日を主催する。

「そのために、わたしは男性に1日だけ窓辺に自らを陳列し、女性客に利用してもらうよう求めた。男性が、女性の同業者同様に窓で女性客にアピールするのはアムステルダム史上これが2回目」と、Majoorさんはその意義を強調する。

■不安げな男性参加者も

　Fabioさん（34）もそのような男性の1人。

　志願した4人の男性らと窓の外から見えるように自らを「陳列」すると、外には様子を一目見ようと人だかりができている。「モデル業を廃業したので、エスコート・サービスを始めたい。だから、自分を売り出すべきだと自分に言い聞かせた」と、Fabioさんはこの状況に不安げに語る。

　隣に座るのは合成繊維のショーツ1枚だけを身につけたDennisさん（31）。

「どうだい、お嬢さん。35ユーロ（約5500円）だよ」とDennisさんは、外を笑いをこらえながら歩く女性に声をかける。

　外を歩く女性の1人は「30ユーロ？これって安いわね」と、友人に語りかける。

■「のぞき」もできる風俗店内を見学

　50代の女性友達3人は、この機会を利用し、風俗店の中も探検した。

「わたしたちは道路に面し窓からベッドが見える部屋を持つ風俗店を見学し、中で女性が客を待つイスに腰掛けました。中に入るとイメージはまったく違った」と女性の1人は話す。

　イベントはほかにも「10分で避妊具のすべてを知る」無料のぞきショーや、今回特別にショーツを身につけて踊るポールダンスなどが行われた。

　31日遅くには、手を腰におき戸口に寄りかかる自信に満ちあふれた女性を表現した、「性産業に従事する世界すべての女性」に敬意を表する銅像が公開される。

　オランダでは売春が2000年に合法化され、労働者の権利についてほかの産業の労働者のそれと何ら変わるとがないとみなされている。

「もちろん、すべてがバラ色とは言いがたい。売春の強要はここでもある。PICはこれを逃れようとする女性を助けるためのもの」とMajoorさんは話す。

　写真は31日、店先に立つ性産業に従事する男性。(c)AFP/ ANP RICK NEDERSTIGT