【ワシントン D.C./米国 31日 AFP】非友好的な有権者や「初の女性大統領誕生」の前にたちはだかる障害にもかかわらず、2008年次期大統領選の民主党有力候補、ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)上院議員(59)は巧みに自身を改造し、ホワイトハウス入りに向かってすべてを計画通りに進めている。

■巧みなイメージ戦略

 「ファーストレディー」や「ホワイトハウス(White House)の女主人」というイメージからの脱却を図り「ニューヨークを代表する有力上院議員」へと変容を遂げたヒラリー議員だが、選挙資金獲得活動では「赤ん坊を抱く女性候補」「南部の人権活動家」「戦闘で息子を亡くした母の慰め役」「ニュー・イングランド(New England)地方の農業従事者と農業科学について議論する専門家」といった新たな「顔」を見せている。

 ここに至るまで、同議員の道のりは長かった。「夫、ビル・クリントン(Bill Clinton)元大統領の後ろに立つ女性」「夫がホワイトハウス実習生のモニカ・ルインスキー(Monica Lewinsky)さんとの浮気を認め、全国テレビ放送で恥をかいた女性」、それがヒラリー議員の歩んできた道だ。だが、いまや同議員は「計算高く、政治的舞台で尊敬される大統領選の有力候補」にまで上り詰めている。

 ニューハンプシャー(New Hampshire)州ダートマス大学( Dartmouth College)の政治学者、Linda Fowler氏はAFPの取材に対し「われわれは長年にわたりヒラリー議員を見てきた。大統領選の立候補者全員がそうであるように、ヒラリー議員もある程度は自己改革する必要がある」と語る。

 前月同議員は、アフガニスタンやイラクで負傷した兵士に対する医療の改善を訴え「米軍兵やその家族の後援者」という立場を強調した。また、アラバマ(Alabama)州ではアフリカ系アメリカ人のための公民権運動継続を熱烈に訴えたが、わざとらしい南部なまりの演説は評判が悪く、失笑を買い厳しい批判も受けている。

 政治評論家らの分析によると、ヒラリー議員の一連の行動は「幅広い有権者層の支持を引き出すための意図的な位置決め」だという。北東部ニューハンプシャー州Saint Anselm CollegeSpiliotes学部長は「ヒラリー議員の戦略は手堅い候補者として振る舞い、そのイメージを利用すること」と語る。

■各紙が伝えるヒラリー議員の「さまざまな」顔

 数か月にわたって同議員の活動に同行してきたニューヨーク・タイムズ(The New York Times)紙は冗談交じりに、「子育てをする戦士」「聞き手」「女性の味方」「タフな女主人」といったヒラリー議員のさまざまな「顔」を掲載した。

 ワシントン・ポスト(Washington Post)紙はさらに厳しく、ヒラリー議員に「Cliche候補」(「陳腐な候補」の意)との洗礼名をつけ、同議員の計算尽くで「つまらない」陳腐な言葉と、見せかけの行動を紹介した。

■イラク戦争めぐる立場が選挙戦の足かせか 

 Spiliotes学部長は、ヒラリー議員が持つ大統領選における優位性として「経験、支持、幅広い人気を誇る夫、経験豊かな助言者および選挙資金獲得能力」を挙げたが、同時に「比較的保守的でイラク戦争支持派と見られるクリントン候補は左派勢力および民主党員からの強い圧力にさらされている」と指摘する。イラク戦争反対派の有権者の支持を獲得するためには、ヒラリー議員はイラク戦争をめぐる自身の立場を改める必要がありそうだ。

 写真は3月28日、ワシントンD.C.で開催された記者会見に臨むヒラリー・クリントン上院議員(中央)と全米女性機構(National Organization for Women、NOW)のKim Gandy氏(右)。(c)AFP/Getty Images Mark Wilson